2018.10/03 科学と技術(0)
本庶先生は科学の研究を推進する姿勢について良いことを言っておられた。すなわち、自分の知りたいことを研究するという姿勢である。
科学とは真理を追究するのが使命の哲学であるから至極当然の言葉である。
しかし、研究者の中には自分のできることを繰り返している人がいる、とたしなめている。
当方もアカデミアの先生方の中に本庶先生が指摘されるような研究者がいることを残念に思っていた。自分のできることを繰り返しているならば、それは職人である。
これが分かっていない人が多いのではないか。企業の研究開発を担当している人にも職人は多い。
以前科学と技術についてこの欄で連載を書いているが、科学が真理を追究するのが使命ならば、技術は現象から機能を取り出すことが使命、と説明している。
この技術者の使命については、これまで著名な技術者が書かれた書籍を読んできて、その思想から思いついたコンセプトである。
技術者にとってそれが真理かどうかはともかくも、繰り返し安定に動作する新しい機能を取り出すことができれば大成功で、そこに進歩性があれば発明となる。
真理が不明な場合が多いので機能の動作にばらつきが生まれたときにその解決手法が要求されるが、真理の追究をしなくてもそれをできるようにしたのがタグチメソッドだ。だからタグチメソッドは科学というよりも技術の手法である。
技術者と自称している人の中にも職人の人が多い。すなわち技術者は自分のやりたいこと、やらねばならないこと、使命として求められていることを実現できる機能を取り出すことが仕事であるが、自分のできることあるいは自分のそれまでの経験の組み合わせで機能を実現しようとする人である。
技術者は自分の実現したい動作について諸事にとらわれることなく自然現象も含め多くの現象の中から、使える機能を取り出す努力をしなければならない。
このとき温故知新は凡才でもうまく機能を取り出すコツのコンセプトである。不易流動の現象をまえに俳句を詠むような気持で機能を取り出せばよいのだ。少し古くなったがピコ太郎のPPAPもよいヒントだ。
カテゴリー : 一般
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