2018.10/08 今という時代(4)
「個人的な興味としては、ピッチャーとバッター、それぞれを年間通して見てみたい。サイ・ヤング賞をとった翌年にはホームラン50本で本塁打王。そんな空想でもしないことを現実にできる可能性のある選手が、この先の未来に出てくるでしょうか?」
古いニュースも含めWEBを見ていて、イチローの大谷選手に対するコメントを見つけた。そこには、続けて次のコメントが書かれていた。
「もちろんそれは才能だけでは不可能でしょう。僕が見る限り、翔平にはその才能を磨いて生かす才能が備わっているように思います。実はほとんどの選手にそれが備わっていないのです」
スポーツでもなんでもトップを目指すには才能が恵まれていることが必要だが、トップ以上を目指すためには、その才能を磨いて伸ばす才能が必要だとイチローは言っている。
この才能を磨いて伸ばす才能とは、具体的な例として、「今日は自分をほめてやりたい」と名言を述べた女性マラソンランナーがいる。彼女のメンタル面も含め、自分に目標を課し、それを達成しようとする自己実現能力もその一つだろう。
才能を磨いて伸ばすコーチングスキルが話題となる時代である。暴力はいかなる状況でも許されないが、一方でその暴力によらなければイチローの指摘する才能を磨いて伸ばす才能に目覚めない選手もいるようだ。
コーチングで重要なのは、イチローが指摘している才能を磨いて伸ばす才能をいかに目覚めさせうまく機能させることではないか。それが難しいから暴力に走るコーチが出てくる。
スポーツに限らず会社のOJTにおいてもコーチングが重要視されるようになった。そのような場面では、セクハラやパワハラをするつもりが無くてもコーチが不注意にスキル以上の指導に深く踏み込むと、それが発生してしまう時代である。
全く無能な人間はいない、という説教を法事で聴いたことがあるが、自らの才能に気がつかせ、それをうまく生かせるような能力を目覚めさせるコーチングの方法は、現場で学ばなければ身に着かない。
すなわち名コーチにスポーツ選手が多いのは、みずからが実際にプレーを必死で行って結果を出した経験があり、実戦で勝つためのその努力の仕方を知っているからだ。実戦で成果を出そうと努力した経験が無ければ育たない、科学では見えないコーチングスキルがあると思う。
組織での仕事で成果を出すには、機関としての組織をうまく活用することが大切である。しかし、それだけで非凡な成果は出せない。結局非凡な成果は、日々磨かれるべき個人のスキルに依存する。今日本の組織で求められているのは、個人のスキルを育て伸ばせるような組織である。例えば、今年のプロ野球セリーグの状況を見ていると、ピッチャーをうまく育てたチームが来年の優勝チームとなる。
(注)イチロー氏は時々コーチングの重要なポイントを発言しているが、必ずしもニュースではそれを伝えていない。イチロー氏に限らずそれなりの成績を残してきた野球選手の発言にはコーチングで育った経験からの発言が多い。
カテゴリー : 一般
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