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2018.10/14 ハゲタカジャーナル

「インターネット専用で、質が十分に保証されていない粗悪な学術誌「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、名古屋大と新潟大は、研究者のヒアリングや論文の投稿ルール作りなど独自の対策に乗り出す方針を決めた。両大は、ハゲタカジャーナルに学内から多数の論文が投稿されていたことが毎日新聞などの調査で判明している。」

 

少し寂しい記事をヤフーニュースで見つけた。この記事のどこが寂しいのかというと、アカデミアの先生が金を払って論文投稿している点とハゲタカジャーナルへの投稿を悪い、と決めつけている大学の見識である。

 

さて、このニュースの内容では、研究者が自分でお金を払って論文を載せてもらっているのだという。当方のこの年齢になるまで、お金を払ってまで自分の研究成果について論文を投稿する研究者がいるとは夢にも思わなかった。これはお金を払って学会発表するのとは少し異なる。

 

学会発表では自分の研究の審査を受ける意味あるいは反響を探る意味があるから有償であり、それ以外は学会発表でも招待講演者には交通費ぐらいは出る。6月に上海で行われた国際会議に招待講演者として講演する機会があったが、ビジネスクラスの飛行機にホテルはスイートルーム、謝礼は封筒がたつほどの束を頂いた。この経験から研究成果の価値を考えた時にお金を払って論文投稿する、という行為など考えられない。

 

せいぜい学会に依頼され、その雑誌へ無料奉仕として投稿するのが我慢できる限界だろう。論文を書くにはそれなりのエネルギーと時間を使う。労働対価を頂くか、社会奉仕のために自分のエネルギーと時間を提供するのかどちらか目的になるだろう。

 

価値ある研究成果を公開するためにお金を払う、という条件では論文を書く気にまずならないはずだ。逆に何か惨めな気持ちになり、筆が止まる。

 

少し話が変わるが、会社設立時に出版社数社から社長インタビューのためお伺いしたい、というご提案をいただいた。設立したばかりの会社なのに、と不思議に思っていろいろ質問すると、雑誌を数年購読してほしい、という依頼が目的の取材だった。

 

手の込んだ商売方法になると有名女優のインタビューを持ち出してくる。それだけでなく、その女優と楽しそうにツーショットがのっているインタビュー記事が書かれた立派な紙質の雑誌を送ってくるなど、ものすごいエネルギーで勧誘してくる。そのようなエネルギーに対しても有償であれば、徹底してお断りしている。

 

今時の先生の中には、お金を払ってまで自分の研究を雑誌に投稿される人がいるようだ。当方には原稿料を頂ける原稿依頼がよく来るので、お金を払ってまで投稿する研究者がいることなど考えたことが無かった。

 

ところで、お金を払って論文を投稿する行為の善悪だが、旧国立大学ではこのような教員に対して善悪の議論ではなく、もうその行為を理由に減給処分あるいは退職勧告してもよいのではないか。

 

税金で運営されている大学で、お金を出さなければ論文を掲載されない研究者はそれだけで失格である。国立大学の研究者には有償で掲載を依頼に来るぐらいが当たり前と思っていただきたい。

 

次にお金を出して雑誌に掲載してもらう行為だが、これは国税が使われていない研究者であれば、悪くない行為だと思う。研究の広告費として考えればそのような方法も現代ならば許される時代だと思う。ハゲタカジャーナルは少し言い過ぎだ。

 

研究内容が保証されない、云々と記事にはあるが、特許の世界では簡単には実施できない実施例が多い。しかし、その簡単には実施できない実施例を信じて苦労して実現した結果、賞を頂いた例もある。科学的に正しくても実務では使い物にならない研究もある。

 

 

カテゴリー : 一般

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