2018.10/20 高分子の運動(5)
高分子の自由体積部分では、そこに存在する高分子の主鎖の一部、あるいは側鎖基、その一部分は、活発に運動している。
回転運動や屈伸運動様々な動きが観察される。このことは教科書に書かれているが、もう一つレプテーション的な運動は、今書店で販売されている教科書のどこにも書かれていない。
レプテーションとは、高分子の主鎖の方向の運動で、OCTA開発で有名な土井先生が発案されたモデルである。すなわち、ウナギを50匹ぐらいバケツに入れた状態を夢想していただきたい。その時観察されるウナギの動きがレプテーション的運動となる。
このレプテーション的運動は、Tg以下においても大変ゆっくりとした速度で自由体積部分でなくても行われている(と思われる)。だから、球晶の成長や射出成形体の変形、樹脂消しゴムがPS製ケースと接着する現象なども起きるのだ。
10年以上前にPPSと6ナイロンをカオス混合装置で相溶させて透明なストランドを作った。記念に退職後も持っていたが、ある日それを見て驚いた。白濁していたのだ。
そして透明感のある白濁から真っ白へ変わっていった。およそ10年かけてスピノーダル分解を起こし、相分離してしまったのだ。室温でこのようなことが起きるかもしれないと思っていても、実際に起きてみるとびっくりする。
カテゴリー : 高分子
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