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2018.10/27 反応速度論(2)

有機合成反応でその反応機構を探るためには、速度論の知識が必要になる。速度論の知識が無くても、中間体をうまく合成してその反応機構をまとめたような論文も存在するが、中間体の反応性を議論するためには活性化エネルギを知る必要があり、どうしても速度論の勉強を避けて通ることができない。

 

無機材料は、共有結合性が低く、その反応機構は有機化合物よりも簡単で理解しやすい。反応機構はわかりやすいが、速度式は高分子のようにアブラミ一発というようにはいかず、反応をモニターしてそれが適合する速度式を探す作業が大変である。

 

これをどのようにやるのがよいかは教えていただいたことが無いのでその理想的な方法は知らないが、学生時代は速度式のそれぞれについてグラフを描き、モニターされた実験データとのフィッティングを行い決めていた。これは、無機の反応が簡単な素反応で進行しているという前提ゆえに許された方法である。

 

指導いただいた先生が速度論の専門家ではなかったので、当方が得られた速度式の結果だけ報告したら、それ以上の議論にならなかった。反応速度論の試験では、常微分方程式を解いていって正解を求めていたが、恥ずかしい話ではあるが、微分方程式を解くには解析数学の教科書片手に何日も格闘しなければいけない状態だった。

 

微分方程式を解くよりも、適当にグラフを書いていって、それをあてはめてみたほうが早かった。だいたい、微分も積分もグラフ上で解くとわかりやすい、と受験参考書に書いてあった。

 

この受験の時のテクニックは、材料開発に大変役立った。机の上で考えているよりも実験をした方が簡単である。ポリエチルシリケートとフェノール樹脂の反応も速度論的アプローチが学問として王道かもしれないが、頭脳を使わなくても肉体で正解が得られる場合には肉体で問題解決したほうが材料開発の仕事では将来のために良い。理由は多くの現象に接することになるからだ。

 

数式で書き表すことができない、すなわち形式知で書き表すことができない現象については多く体験しておくことが、AIに負けない人類となるなるために必要不可欠である。

カテゴリー : 高分子

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