2018.10/29 雑誌STEREO8月号付録スピーカーと音工房Z
マークオーディオ製スピーカーユニットが付録としてついてくるといった触れ込みでSTEREO8月号が販売されたので購入した。
雑誌の価格は5000円を超えており、スピーカーが付録としてついてくると言っても本体は数ページの本で、どちらが付録かわからない。
しかし、秋葉でペアで購入すれば1万円をはるかに超えるマークオーディオ製のユニットが5000円弱で買えるのならと、購入してみたが、箱が無ければ使えない。
3種類ほどこのスピーカー専用に箱が売り出されていたが、箱の材質の悪さに購入を控えていたら、音工房Zからバーチベニア製のキットが販売された。
若干高めの価格だが、スピーカーと合わせても25000円なので、我慢して購入し、昨日組み立ててて一日音楽を聴いていた。アンプはROTEL。
聴き始めはバランスの悪い音だったが、30分ほど大音量でエージングしたところダンパーが緩んできてすこぶる良い音で鳴り出した。
B&Wの1台30万円前後のスピーカーに匹敵する音である。というよりもよく似た音の傾向だ。フルレンジ1発で聴いているので音像もカチッと決まり、ボーカルの口の大きさもおばキュウのようになっていない。
これまで事務所ではオルトフォンの小型スピーカーを使っていたのだが、このスピーカーの半額以下の価格で、このスピーカーよりも情報量の多く出るスピーカーを購入できたと考えるとコストパフォーマンスは良い。
しかし、聴きなれてくると不満も出てくる。ロン・カーターのベース音やバスドラムの音に締まりがないのだ。オルトフォンスピーカーとは異なるWバスレフ形式でスリット型にも関わらず、締まりが無い。
周波数の入ったCDをかけて聴くと50Hzくらいまで十分にフラットで出ているようなイメージだが、低域はボーンという鳴り方をする。バスドラムは我慢できるが、ロン・カーターのベース音には少し興ざめする。
音工房Zのキットでは吸音材を入れなくてもよい、とされていたが、100円ショップで洗濯スポンジ6ケ、ポリエステル綿を購入し、1台当たりスポンジ2ケとポリエステル綿を拳骨2個分入れてチューニングしたところ、低音がやや引き締まり、また音の粒立ちが明瞭になった。
バスレフの欠点丸出しのスピーカーだったが、吸音材によるチューニングで仕事しながら聞くスピーカーとしては、十分な性能のスピーカーになった。長時間聴いていても聴き疲れしないところは、オルトフォン並みでよい。
昨今は高級オーディオブームだが、キットを使えば手軽に高級オーディオ並みの音が手に入るようになった。良い時代である。
10月23日京都リサーチパークKRIワークショップ基調講演で拝聴したパナソニック執行役員小川理子氏の「テクニクスブランド 感性価値創造への挑戦」では1千万円をこす富裕層のシステムの話題があったが、工夫すれば数万円で心豊かになるシステムが手に入る。
40年以上前のオーディオブームの時にはお金に頼る以外に手段は無かったが、今はネットを探せば格安で凡人の感性ぐらいならば豊かにできるキットが存在する。
現代のオーディオブームは、金にモノを言わせる時代ではなくなった。音工房Zの様な趣味のオーディオをサポートするメーカーも出てきた。DVDオーディオに限定すれば、音の入り口であるパソコンから、アンプ、スピーカーまで手作りで完成することもできる。
それにしてもマグネシウム合金の振動板は、金属でありながら金属音がしないところが不思議だ。オルトフォンのスピーカーのウーファーはいかにもPP振動板という音でかつての名器SX3のようなプレミア感がその音色に漂っていたが。
カテゴリー : 一般
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