2018.11/08 高分子の熱分析(7)
高分子の熱分析が流行らなくなったのでこのテーマを書いている。しかし、熱分析機器のメーカーからお金を頂いているわけではない。高分子材料を扱っている技術者ならば、DSCやTGA、TMAを自由に使いこなせるようになっていたい。
難しい高分子物理の世界とこれら熱分析機器とはつながりがあり、とりわけDSCやTMAは、その測定原理までよく知っておきたい。TGAについては、重量減少のモニターなので理解しやすいと思う。未知の配合の解析にも活用できることを以前紹介している。
高分子材料の開発段階ではDSCぐらい測定するようにしたい、と書いた。そして可能ならば、昇温測定と降温測定を行っておくことも勧めている。この日々の測定で異常が無ければよいが、もし異常があったならばTGAの時と同じように恒温測定を行ってみるとよい。
結晶性樹脂の場合には、Tcについて恒温測定を行ってみる、すなわちその温度における結晶化のエンタルピーを評価するのだ。ルーチンとして測定されたデータでも結晶化エンタルピーが求められている。恐らくそれらの値は同じような時もあれば異なった値として得られることもある。
あるいは、昇温速度を変えて、Tcの変化を見てみるのも有効である。このあたりはTGAの測定で述べたように、反応速度論的解析を行っていることになる。DSCとTGAの測定データから混練段階のエラーを想像した。
現場監査を実施したところ、温度センサーが壊れた二軸混練機でコンパウンディングしていた。スの入ったペレットも押収したので、帰国後納入されたペレットの袋を全て調べたら、同じようにスの入ったペレットが見つかった。
しかし、誠意のない大手のコンパウンドメーカーは、スが入っていても問題ないという。すなわちセンサーの壊れた二軸混練機で生産されたコンパウンドでも問題ないと言ってきたので、以後取引をしないことにした。
品質データねつ造と等しい問題を放置しておくような大手コンパウンダーが日本にあることをお知らせしておく。もしコンパウンドの問題で困っている成形メーカーの技術者は、弊社のお手軽セミナーの活用を申し込んでみてください。
カテゴリー : 高分子
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