2018.12/23 ニーダーを使用すべきか
樹脂やゴムを研究開発段階で混練するときに簡便なニーダーを利用できる。指導社員は、ニーダーを使用した配合研究のやり方は実用化との距離を長くすると教えてくれた。
すなわち、実用化された時のプロセスと同等の混練プロセスで配合研究を行うべきだと指導された。例えば、防振ゴムは、バンバリーとロール混練でコンパウンドが製造されているので、実験室でもそのプロセスで検討すべきだと、と言われた。
実は、ゴム会社のコンパウンドの大半はこのプロセスだが、研究所ではバンバリーの稼働が大変という理由で、ゴムの配合研究をニーダーを使って研究する人がほとんどだった。
バンバリーを稼働させるためには、最低でも10kg以上でゴム配合を検討する必要があり、混練後の掃除も大変だった。一バッチの稼働時間は5分以下だが、半日10バッチ以上も混練すると全身がうっすらとカーボンで汚れる。
無意識に作業中に顔をこするとひげが生える。バンバリーを運転した後は風呂に入る必要があり、パイロットプラントとはいえ大変な作業だった。ゆえにバンバリーは嫌われ、研究所の研究員は皆ニーダーを用いて配合研究を行っていた。
しかし、指導社員は評価に使用するゴム量が100g程度でもバンバリーで混練するように言っていた。そして余った10kg以上のゴムは惜しまず、すぐに廃棄するように指導された。すぐに廃棄するのは、サンプル置き場が狭かったからである。ゆえに、必要量混練すると台車でゴムを廃棄するという習慣になった。
ところでニーダーではゴムが液状になるまで温度を上げることができたので、樹脂を溶解することもでき、サンプル作成は容易だった。ロール混練のように樹脂が溶解する混練条件を探す必要は無かった。
しかしこれは見かけの容易さだった。ニーダーでうまく混練できたかのように見えるコンパウンドでも加硫ゴムにして物性評価するとロール混練の最適条件で混練されたコンパウンドを加硫したゴム試料がよい物性になった。
当時は不思議で気味の悪い仕事に見えたが、セラミックスもプロセス依存性のある材料であり、慣れてた。40年あまり様々な材料開発を行ってみると大学では教えないプロセシングの重要性を感じ、その技術伝承のためコンサルティングを事業の一部として行っている。
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