2018.12/24 樹脂補強ゴムの特許
防振ゴム用樹脂補強ゴムの特許は、指導社員が全体をまとめている。当方は実施例を指導社員の指示で書いた。当方も今では時間の許す限り、自分で特許の明細書を書くが、この時の指導社員ほどのスキルは無い、と日々今でも反省し努力している。
この特許にはダッシュポットとバネのモデルを常微分方程式で解いた話も出てくる。今この特許を読むとダッシュポットとバネのモデルによる解析手法は高分子技術の一つと感じさせる内容である。
当時の防振ゴムは、カーボン量と加硫密度を調整し、すり合わせ技術でその物性が設計されていた。但し、ゴムを硬くするためにカーボン量や加硫密度を上げると損失係数が変化する。
カーボン量を増量すると、損失係数はわずかに上がるが、ゴム硬度が硬くなり、75Hz付近の防振性能が低下する。加硫密度を上げると、硬度が高くなり、損失係数も低下し、15Hz付近の防振性能が低下する。
高速道路を走行中のエンジンから発生する振動とアイドリング時にエンジンが発生する振動の周波数は異なり、この両者の防振性能を得るためには、カーボン量や加硫密度の調整だけでは難しいことが分かっていた。
当時は仕方がないので自動車ごとにエンジンマウントの配合を調整し、うまく両者の妥協点を見つけて製品としていたのだが、車の高性能化の前に新たな技術開発が望まれていた。そして、オイル封入エンジンマウントやエアーダンパー形式のエンジンマウントなどが登場していた。
それをゴム配合で問題解決しようとしたテーマが樹脂補強ゴムで、ゴム硬度を上げる手段が従来はカーボンの増量や加硫密度の向上以外になかったところへ、第3の技術として提供された。詳しくは特開昭56-122846をご覧ください。
カテゴリー : 高分子
pagetop