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2018.12/25 フィギュアスケートと自己実現

今シーズンから競技時間やジャンプに制限がかかり、GOEの幅が広がるようにルールが改正され、4回転の競演よりも演技全体の芸術性、作品性が見直される流れに変わった全日本フィギュアスケート選手権2018が終わった。

 

採点方式が変わったということで、今回は下位の選手の演技も金曜日から楽しんだ。フィギュアスケートというスポーツは、渡部絵美選手が1979年の世界選手権で3位になったときから興味深く観戦している。

 

名古屋出身の伊藤みどり選手の登場は、競技の評価ルールが変わったことにより世界のトップ選手になった思い出として残っている。今ゲームチェンジしトップになることが戦略の一手法として指摘されているが、彼女のジュニア時代から見てきた当方は、ゴム会社で高純度SiCの事業を提案し、続ける勇気を彼女から得ている。

 

当方が観戦するようになって以来フィギュアスケートというスポーツは、競技方法やその採点形式などが定期的に見直されて現在のような姿になっている。伊藤みどり選手は、演技内容や評価方法の大幅変更の結果トップスケーターになれた、とご自身のインタビューで答えている。

 

なぜなら、変更前の演技内容は規定とフリーで競う競技で、規定とは規則正しい円や動きをすることを競っていた。伊藤みどり選手はこの規定が苦手だったという。この規定が現在のようなSP形式になって彼女はトリプルアクセルを武器にして世界のトップスケーターとなっている。

 

その後も採点方法が少しずつ見直されていたが、男子の4回転時代になり難易度が上がってくると、難易度の高い演技でミスをした場合と難易度の低いクリーンな演技との評価の矛盾が出てきた。浅田選手とキム選手の対決における評価やザギトワ選手がジャンプを後半にすべて行い高得点を狙うと言った具体的な問題が出てきて、今シーズンの新たな評価方法への変更となった。

 

新たな評価方法では、難易度の高い演技を無理に組み込むよりもクリーンな演技をすることが求められ、フィギュアスケート本来の美しさが求められるようになった。そしてこの評価方法の変更がきっかけになったかどうか不明だが、32歳の高橋選手が全日本選手権に参戦し、昨日見事銀メダルを獲得した。

 

彼はフリーで果敢に4回転に挑戦したが、失敗し二回転になってしまった。しかしこれはご愛敬、迫力ある演技で、途中で手をつくなど細かいミスがあっても会場を十分に沸かせた。そして二位になった。本人は試合後のインタビューで全日本の最後のグループで滑ることを目標にしてきたので、と応え、今後のことを語らなかった。

 

ところで、このフィギュアスケートと言うスポーツの面白いところは、自己の目標とする得点をとれるようにあらかじめ演技構成を考えなければいけないところにある。すなわち、自分の実力と目標を考え、演技構成を決める必要がある。昨日の高橋選手のプログラムは、宇野選手に挑戦することを意図していたかのように思わせる内容であり、明らかに試合後のインタビューは謙遜だった。

 

残念ながら世界選手権を辞退したが、「辞めるつもりはない。きょうの演技だと悔しくてすっきり終われない感じ。もうちょっとできるはずだという気持ちが出てきている」と現役続行の意思を見せた。恐らく年齢から予想されるレベルでは今後世界選手権のチャンスは巡ってこないかもしれないが、本人はそれも覚悟しているとのこと。自己実現とは何か、を改めて考えさせられた大会だった。

カテゴリー : 一般

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