2018.12/27 技術開発経験談(13)
樹脂補強ゴムのテーマを終了し、新年早々人事異動となり、報告書を指導社員に提出するとともに新しい職場へ挨拶に行った。異動した職場は高分子合成研究室という看板の研究所で、リーダーは、ダンフレームという難燃性ポリウレタン天井材を商品化された方だった。
このダンフレームという商品の説明をこのリーダーから聴いたときに欠陥商品だと直感で感じたので、異動したばかりの職場にあった極限酸素指数測定装置(LOI)でその難燃性を評価してみた。
このLOIについては、訳アリ設備のようで、新しい設備のようだが、ホコリをかぶっていた。設備管理者はリーダーだったので、使用許可を申し出たら、研究室の設備は自由に使ってよいから成果をどんどん出してくれ、とはっぱをかけられた。
そこで、すぐに測定したのだが、国の難燃基準に合格しているというのに21よりも小さい19という値が得られてびっくりした。当時の難燃2級という建築材料の規格に合格するためには自己消火性の材料でなければいけない、と聴いていたからだが、それにしてもLOIが19という値は不思議だった。
当方の修士論文の研究の一節に、ホスホリルトリアミドのホルマリン付加体を応用した難燃性PVAという研究がある。これは色材協会誌に投稿した論文である。この研究開発経験からLOIについて熟知していた。ゆえにLOIを測定したのだが、19という測定値が出たので当方の勘が当たっていたことになる。
しかし、この当方の行動と知識が問題をひき起こした。そもそも当方が使用したLOI測定装置では、発泡体の評価ができないと結論づけられていて、実験室の隅に放置されていた。しかし、異動したばかりの当方はそのことを知らなかった。
使えないような装置で評価した値だから信用できない、とか、命じられないことを勝手にやったとか、いろいろ職場の同僚から批判された。さらに、業務終了後に実験をしたことで叱責された。
樹脂補強ゴムの開発で無茶な仕事のやり方をやっている新入社員がいる、と評判になっていたので、この業務終了後の実験の習慣は、新しい指導社員からすぐに禁止令が出た。仕事が終わったらすぐに帰宅することが、その日から義務となった。
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