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2018.12/29 技術開発経験談(15)

異動した研究室の片隅にあった装置では、サンプルに手動で着火後、燃焼筒の周囲を覆う黒い筒状の蓋を手動でセットする必要があった。サンプルの燃焼状態を監視するセンサーのためだが、面倒な作業だった。

 

この作業を終えると自動的にスイッチが入り、自己消火しそうな値から自動的に温度や雰囲気を制御しながら測定を続け、LOIを決定する動作を行う。

 

だから発泡体の様な燃焼速度が速い材料では、装置の制御速度と合わず、LOIを決めることができない。ただし、この問題は自動測定する仕様のため発生しているのであって、制御機構をすべてはずし、すべての作業を手動で行えば、発泡体のLOIを測定できるようになる。

 

しかし、この手動測定法についてマニュアルに書かれておらず、また、この設備の仕様では手動計測は考慮されていなかった。そのため当方は、この装置の制御部分のコネクターを外して、手動測定した。

 

LOI法は、混合雰囲気でサンプルの燃焼状態を評価するだけの仕組みなので、自動化の恩恵は少ない。自動化により測定精度があがる、とカタログには書かれていたが、手動でも十分な精度を出せる測定法で、もし自動化を行うならば、サンプルセットから着火まで自動化しなければ意味がない。

 

また、各種センサーの位置が悪く、測定後の掃除が大変な装置だった。ゆえに、測定や測定後のメンテナンスをやりやすいように、センサーやカバーを取り外し、評価法の規格で決められた必要十分な設備状態にした。その結果、作業性も上がり、発泡体も測定可能な装置になった。

 

ただ、このような改造を見たリーダーから「君のためにこの装置を購入したのではない」と訳の分からない注意を受けた。異動した時の最初の面接では、グループで管理している設備を十分に生かして成果を出してくれ、と言われたばかりだったので、使いやすいように改良しました、と思わず答えてしまった。

 

意味のない自動化が行われた自動酸素測定装置の自動化部分を取り外し、手動で使いやすいように改良した行為について、上司の許可を得てから行うべき、と指導社員から後日注意を受けた。

 

ただ、難燃剤も添加されていない硬質ポリウレタン発泡体が空気中で自己消火性を示す、というリーダーの説明に胡散臭さを感じ、品質問題が会社に与える影響を懸念して自主的に実験を行ったのである。

 

リーダーは部下のモチベーションを考えてその言葉には注意をする必要があることをドラッカーは述べている。当方はリーダーがドラッカーを読んでいないのではないか、と疑った。

 

当時ドラッカーの本を知識人であれば読んでいるのが常識と言われていた。また、マネジメントの研修ではドラッカーが使われたりする、と夜のアルコール研修で人事部担当者から話を聴いていた。

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

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