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2019.01/07 研究開発部門の企画(3)

電気粘性流体の増粘問題を界面活性剤で解決した技術について、平成10年12月25日に「特許2867343」として特許が成立している。報告書など過去の研究情報を見せていただけないなどその処遇に疑問のあったお手伝い業務に関わらず、この改良技術も含め電気粘性流体の性能を改良するそのほかの技術について多数の特許を出願している。

 

ところで、界面活性剤で問題解決するこの技術は科学的証明では否定されていたが、たった一晩でその技術シーズが生まれている。その後企画のタイトルが界面活性剤から第三成分と修正され、実用化されている。

 

各種添加剤が無添加のゴム開発というテーマは、誰も担当することなく消えている。すなわち、やらなくてもよいような企画が事業化テーマを止めてまでも推進されようとしていた。研究所における問題解決型テーマにはこのような企画が生まれる可能性がある。

 

ところで、科学で否定された技術について、なぜ、一晩で技術を作ろうとしたのか。新入社員時代に3ケ月だけ防振ゴム開発を担当し、その時に身に着けた知識でプロジェクトリーダーが提案してきた企画が、ただ研究として確認するための、すなわち研究のための研究的企画であり実用性のない企画と判断できたからである。

 

研究として真理を確認するための研究も時として必要かもしれないが、事業化テーマである高純度SiCの企画を中断してまでもそれを推進すべき企画とは思われなかった。

 

ちなみに高純度SiCのJVで推進していた半導体治工具開発企画(特開平5-24818、特許2565024)はその後30年近く事業として続き、2018年10月11日に株式会社MARUWAへ事業譲渡されている。一方電気粘性流体については、テストマーケティングされたようだが、当方が転職後数年でその事業は消えて無くなっている。

 

但し、当方は電気粘性流体のテーマに対して非協力的だったわけでなく、研究色の強かった企画内容に対して、事業に照準をむけるよう推進方針の変革を促す技術企画をいくつか提案している。

 

まず非現実的なオイルの改良技術として難燃製油(それまでは安全性の乏しい引火性のオイルが使用されていた)を提案し、特許出願(特開平4-149253、特開平4-198190:特許2896808)している。

 

また、技術内容の不明確だった問題、すなわちERFに添加されている微粒子の設計指針となる、傾斜機能粉体(特開平3-252498、特開平4-22796:特許2855354、3102054)や微粒子分散型微粒子(特開平4-227996、4-227996)、コンデンサー分散型微粒子(特開平6-279018)など高い電気粘性効果を示す粒子のあるべき姿を明らかにし、それを特許出願して電気粘性流体の実用化に十分な貢献をしている。

 

これらの企画は高純度SiCの事業化を一人で推進しながらサービス残業で立案されている。今働き方改革が叫ばれており、サービス残業など非常識かもしれないが、当時高純度SiC事業化を推進するためには、その手段しか残っていなかったのである。

 

 

カテゴリー : 一般

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