2019.01/25 日産自動車の不正問題
1月24日(木)発売の「週刊文春」では、日産及びカルソニックカンセイの検査不正問題を取り上げている。自動車用内装材の難燃性について不正をやっていたことを関係会社のカルソニックカンセイの関係者が明らかにしたらしい。
日産自動車は「2018年9月に日産自動車として事実を確認しました。本件は日産自動車とカルソニックカンセイ社との間で取り決めた難燃性試験の実施に不備があったものであり、カルソニックカンセイ社と調査・再発防止を社内関係部署にて実施しております。2018年10月に国土交通省へ確認した事実を報告しております」などと回答した内容を報じている。
日産自動車がいつから不正を行っていたのかについて「1999年にゴーン氏が日産に来てから系列でもコスト削減が進んだこと。人員不足で検査が片手間になっていました。」とある。
問題は年1500件以上も車両火災が発生しており、その内容は公開されていない。もし大半が日産車としたら大変な社会問題になるはずだ。
当方は年に数回高分子の難燃化技術についてセミナーを開催しているが、基本的な考え方として高分子を不燃化することができないので、それぞれの規格を守った材料の難燃化技術が重要と指導している。
この基本が守られていないとどうなるのか。燃えやすい商品となり、一気に燃焼リスクが高まるのだ。すなわち、本来燃える様な材料を燃えにくくしているだけで、その燃えにくさは経済性との関係で商品ごとの規格が設けられている。
その規格さえもコストダウン必達のために守られないとしたら、安全性についてリスクが高いことになる。文春オンラインで報じられている内容は、単なる品質検査の捏造では済まされない。実態を公開し、必要ならば、部品交換をすべき義務が発生する問題だ。
もしこれを国が放置しているならば、自動車火災が発生したときに国土交通省はその責任を負うことになる。昔、お餅のように膨らむことでJIS難燃規格を通過した天井材の話をこの欄で紹介している。その時社会問題化して、当時の通産省は難燃規格の見直しを行い、当方はその仕事のお手伝いさんとして建築研究所へゴム会社から派遣されている。
その見直しでは、天井材は、難燃二級という規格から簡易耐火試験という新たな企画に変更された。そしてゴム会社は新製品として販売していた餅のように膨らむ硬質ポリウレタン製天井材をフェノール樹脂に材料変更をすることになった。
もし国土交通省の担当者が報告を聴きながら何も対応しないならば、自動車火災の責任を問われることになるかもしれない。この意味がよくわからないならば、国土交通省の担当者は一度当方のセミナーを聴いて勉強する必要がある。
ところで、この日産自動車の問題は、一年前に起きた材料メーカーによる品質データねつ造事件と類似点があることにアセンブリーメーカーは気がつく必要がある。もし一連の事件における類似点が分からず対策ができなくて困っているメーカー担当者は弊社へご相談ください。
カテゴリー : 一般
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