2019.03/01 高分子物理は材料科学最後の荒野
今年度のナノテク展で高分子材料関係のシンポジウムを聴き、がっかりさせられた。詳細は以前のこの欄の報告を読んでいただきたいが、高分子物理に対する展望をシンポジウムでは聴きたかった。
1990年前後にレオロジーについて大きなイノベーションがあり、ダッシュポットとバネのモデルは忘れようと宣言されたのに、時折学会発表にゾンビのごとくバネとダッシュポットのモデルが登場していたりする。
バネとダッシュポットのモデルは技術では便利な考え方だが、科学ではもう使わないようにしてもらいたい。高分子物理は金属やセラミックスと異なり扱いにくい分野である。なぜなら高分子材料は、それら二つの材料に比較してプロセス依存性が大きな材料だからだ。
すでに特許が公開されたので話すが、オリゴマー添加剤という面白い添加剤がある。低分子可塑剤にはみられない挙動が観察される。例えば、オリゴマー添加剤を添加した処方について、カオス混合を行った場合と行わなかった場合では異なる物性のコンパウンドが得られる。
詳細は問い合わせていただきたいが、面白い現象は、オリゴマー添加剤はそれなりの分子量があるので、ラメラから球晶まで育つのだ。すなわち可塑剤として機能しない、といえばご理解いただけるかもしれない。
高分子の融点だけは下げたいが、ガラス転移点を下げたくない時にオリゴマー添加剤を活用可能である。もちろんこの添加剤はそれなりのデザインが必要であるが、今この添加剤を用いて様々なコンパウンドを開発している。
高分子物理がまだ未熟なのでこのあたりの学術情報は存在しない。だから技術として好き勝手なことができる。すなわち特許を多数書くことが可能である。ご興味のある方はご相談ください。
カテゴリー : 高分子
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