2019.03/20 新規事業を成功させるために(2)
携帯端末にカメラが付いた商品が低価格デジカメの市場を奪うことができたのは、携帯端末カメラゆえの制約からくる光学性能を補う技術まで開発されたからだが、インターネットとシームレスに機能がつながっていた点は、カメラにない大きな利便性である。
しかし、カメラメーカーは、ただデジカメ市場が奪われるのを見ていただけで、カメラ技術で携帯端末カメラの市場を侵食しようとはしなかった。携帯付カメラという商品が10年ほど前に登場し話題となったが、カメラの性能が携帯端末カメラと大差がなかったので、当方は商品スペックを見て笑ってしまった。
なぜ10年ほど前にインターネットとシームレスにつながる高性能ミラーレス一眼が開発されなかったのだろうか。さらに、そこで写真文化を展開する商品が企画されなかったのは不思議である。ただ、これは10年経った今ニコンがフルサイズミラーレス一眼の市場に出てきた戦略から理解できた。
ニコンはフルサイズミラーレス一眼をカメラの最終完成形と位置づけ、高性能レンズをラインアップして参入してきた。発売されたズームレンズの性能は過去の単焦点レンズと比較しても遜色のない性能で、専用の単焦点レンズは過去の単焦点レンズよりもボケがすばらしい。
おそらくニコンにとってカメラは写真を撮る道具であり、カメラ以外の機能が付いた商品はすべて新規事業とみなされるのだろう。これではこれからの時代に生き残ってゆくのは大変である。カメラが趣味の当方は、10年以上前にカメラを使った新規事業アイデアを思いついたがカメラ資産をソニーに売却した会社ではそれを実現するのは難しいと思い、そのまま温めて現在に至っている。
当方の在籍していた会社は、有機EL照明事業に力を入れおり、この事業に反対していた当方の立場では新事業提案をしにくかった。すでにインスタグラムで実現されたように、インターネットには、映像機器にとってとんでもない大きなマーケットの可能性がある。カメラはそのデータ入力機器である。カメラとインターネットとが一体となった新事業の可能性は大きい。
カテゴリー : 一般
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