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2019.04/19 シリコン樹脂(レジン)

シリコーン類は、金属ケイ素を原料にしてジメチルシラン類を合成し、それらを原料にして様々な化合物が合成されている。SiC繊維の原料となるシランポリマーの主鎖はSiだがシリコーンポリマーの主鎖はらせん構造をとる柔軟なSiO結合だ。

 

だから、線状シリコーンポリマーはゴム弾性を示す。ややこしいのは架橋密度が上がり、ゴム弾性を示さない物質はシリコーンレジン(樹脂)と呼ばれていることだ。

 

C-C結合を主鎖に持つ一般の有機ポリマーの樹脂とはTgが室温より高い物質が樹脂と呼ばれているから、これはシリコーンゴムの架橋密度の高い物質と呼んだ方が分かりやすい。

 

しかし、エラストマーとしても用いられるポリエチレンが樹脂と呼ばれたりしているから、これらの物質を眺めると、樹脂とかレジンと言う呼称が室温において弾性を示すかどうかという視点がわかりやすいことに気づく。

 

ところが、熱可塑性エラストマー、TPEという物質が存在したりするので、この議論をますます難しくする。そもそも、レジンとエラストマーを同じ土俵で定義されていないのではないかと思えてくる。

 

技術者の間でもこの感覚が異なるから、高分子と言うものが難しく見えてくる。エラストマーと感じた物質をレジンと言われたりすると、当方は未だに不気味になる。

 

これは地下鉄の電車をどこから入れた、という三球照代の漫才ネタと同じではない。学会が整備しなければいけない言葉の問題だ。

 

さて、言葉の問題は漫才同様に結論が出にくいが、シリコーンレジンについて有機置換基の量が少なくなると可撓性が低くなり、硬度も高くなることが経験的にわかっている。すなわち、硬いシリコーンレジンを製造したいなら有機置換基を少なくすればよい。

 

また、有機置換基の芳香環の割合が増えると、可撓性が高くなり、柔らかいシリコーンレジンになる。すなわち置換基の量と芳香環の割合を制御しながら様々なシリコーンレジンが合成されている。

 

合成法は、有機ポリマーよりも簡単で分かりやすいが、ここに物性コントロールをするときの落とし穴がある。すなわち、可撓性が高く柔らかいシリコーンレジンを設計したつもりだが割れやすかったりする。

 

この問題の答えはここで書かない。ご興味のある方は弊社に相談して欲しい。本日の内容だけでも勘の良い人ならばすぐに理解できる。無機高分子研究会というのがあるが本来こうした問題をもっと多く議論してくれたなら面白いのだが。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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