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2019.05/25 ガラス転移点(5)

高温度からゆっくりと材料を冷却してくる。この時材料が結晶性高分子ならば、最初に結晶化が生じ、その後ガラス転移点が現れる。

 

ところが、材料が無機ガラスならば、最初にガラス転移点が現れ、そのまま100%ガラス状態で室温に至る。ガラス転移点と室温の間に結晶化温度が存在しても、よほど結晶加速度が速い組成がそのガラスに含まれていない限り冷却過程で結晶は現れない。

 

室温でガラス状態になっている無機ガラスでも、結晶を構成できる組成が含まれていると長時間かけて結晶が析出してくる。この時結晶化温度でガラスをアニールしてやると早く結晶が析出してくる。

 

昔透明なガラス板の開発は、結晶化しないような組成を探す作業だった。それでも、雨風にあたり、アルカリ土類金属などが流されたりすると組成が変動し、結晶が析出したりした。耐候性の高いガラスも開発目標だった。

 

高分子では、結晶化が起きても100%結晶になることはなく、球晶にはガラスが含まれている。すなわち球晶を構成するラメラとラメラの間にはガラス相が存在する。そのためどんなに結晶化度が高い高分子でもDSCを測定するとTgは現れる。

 

DSC測定で偶然Tgが現れないことも経験するかもしれないが、その時はTgが出そうな温度から下のところで2-5分昇温を止めてやりTgが出ることを確認すること。これは先日も書いたコツである。

 

 

カテゴリー : 高分子

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