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2019.06/08 高分子のプロセシング技術

材料のプロセシング技術に関する形式知の部分は、化学工学に属するが、1980年前後までそれは未完成であると授業で聴いた。それから40年ほど経過しているが、この分野の形式知は今でも未完成と言わざるを得ない。

 

例えば、混練プロセスについて未だにコンピューターによるシミュレーションもままならない。これは、高分子のプロセシング技術が形式知よりも経験知の占める割合がかなり大きいからである。

 

高分子材料も無機材料も加工されて製品になるまで、その物性にプロセシングの履歴が残ると言われている。とりわけ、高分子材料は物性のプロセス依存性が無機材料よりも大きい。

 

そのため同一ロットで合成された高分子を用いて同一処方の配合で混練を行い、射出成形を行っても、二軸混練機や射出成型機が異なると、成形体の物性が異なったりする。

 

セラミックスでも同様の現象は見られるが、同一合成ロットの樹脂を用いて2台のまったく同一仕様で製造された二軸混練機を用いて、それぞれから得られた2種類のペレットのレオロジー特性が異なる、というような現象はセラミックス材料の開発で経験していない。

 

高分子材料のプロセシングでは、このような形式知で説明のできない現象が時折起きる。

 

こうした経験から、高分子のプロセシング技術は無機材料のそれよりも難しいと思っている。混練プロセスに至っては、技術者それぞれの経験知が異なるゆえに議論さえできない時もある。

 

例えば、タイヤ開発に携わったゴム技術者とPETの成膜技術に携わった樹脂技術者とでは、混練についてほとんど議論がかみ合わないかもしれない。

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