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2019.06/09 企業で悪人が生まれるとき

企業活動において明らかなコンプライアンス違反ならば悪人と言われても仕方がないが、一生懸命仕事をしていても悪人になってしまう危険性があるのが企業と言う組織で活動するときの難しさである。

 

ゴム会社の新入社員時代に当方は悪人となったため始末書を書き、会社にお許しいただきフロッピー事件が起きるまで12年勤務した。

 

始末書を書くことになったのは、市販されていない難燃剤を用いて実験を進め、工場試作まで成功させたからである。

 

軟質ポリウレタン発泡体の新しい難燃化技術の企画を入社10ケ月目に命じられたので、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの企画をすぐに提出した。

 

当時ホスファゼンは先端材料でどこもまだ事業化していない材料と言うことで課長も新規性十分な企画であると絶賛され、いつできる、となった。

 

ホスファゼンを自分で合成することになるので、そのために1ケ月かかり2ケ月ごろには実験室レベルの発泡体ができている、と回答している。もちろんこれは新入社員ゆえの元気な回答である。

 

話半分に聞かれると思いきやすぐに実験をやれ、と命じられ、少し遅れたが4カ月過ぎたところで工場試作をしてみようということになった。そして工場試作をしたら大成功で、そのときは周囲から大絶賛で褒められた。

 

しかし、課長がそれを役員報告したところから運命が変わり、当方が始末書を書くことになった。

 

このあたりは以前にもこの欄でどのような始末書を書いたのか述べているので割愛するが、会社のために一生懸命サービス残業までやって、成果を出して知らず知らずのうちに悪人になったのである。

 

企業と言う組織の中ではこのようなこともありうるのである。それでもその組織で働きたいと思うならば我慢というよりも前向きで状況を捉え、働くことである。

 

しかし、どう考えても後ろ向きにしかなれないならば、新しい組織をさがすより仕方がないのが今の社会システムである。

 

始末書まで書いて会社に残ろうとしたのは、新入社員の2年間は失敗をしても良いから思い切り仕事をやるようにと、石橋幹一郎氏が新入社員に向けて言われ、そのようにしたら本来ないはずの責任を認めてくれて始末書まで書かせてくれた、と解釈し納得している。楽しい思い出である。ちなみに、その時の始末書には、悔しかったので夢に見た燃焼時にガラスを生成して難燃化する技術の企画を書いており、これは半年後実用化された。

カテゴリー : 一般

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