2019.06/27 高分子のプロセシング技術(8)
高分子へフィラーを分散した時に生じる現象では、フィラーと高分子との相互作用を考えなければいけないので複雑になる。
そのため分配・分散モデルによるシミュレーションが長年研究されてきたにもかかわらず、現実の系と一致する満足な成果が未だに得られていない。
ところで、このようなフィラーの分散と混合のプロセスで発生する現象に関しては、セラミックス分野でも類似の現象があり古くから粉砕技術として研究されている。
セラミックス粉末の分散では、溶媒が液体かあるいは空気である。緩和時間の長い高分子の融体を溶媒とした分散現象よりも緩和時間が極めて短いので扱いやすい。
セラミックスでは、一次粒子の形状と添加剤(焼結助剤やバインダー)の分散状態が成形体物性へ大きく影響するので、粉体に含まれる粒子を如何に小さく均一に粉砕し混合するのか、という命題を古くから技術者や職人が持ち続けてきた。
この命題の解答は混練でも参考になるので、以下にその要点について内容をまとめた。
A.ビーズミルやボールミル、ジェットミルは、メディアの衝突や粒子の衝突による衝撃で粉砕が進行している。
B.ローラミルは、圧縮力と剪断力により粉砕を行っている。
C. 粒子は微粒化により表面エネルギーが増加して凝集しやすくなる。乾式で粉砕を進めてゆくと数μmまでが限界であり、それ以下の粉砕を行うには湿式粉砕となる。
カテゴリー : 高分子
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