2019.08/05 高分子のプロセシング(27)
連続式混練機では、混練機から吐出された組成物を水で冷却しストランドの形態で引き出し、粉砕してペレットにする場合がある。
この時、結晶成長速度が、何らかの要因で変化すると、ストランドの形状変化が起きる。その結果、ペレット形状がばらつくことになる。
例えば結晶性高分子をコンパウンディングしている時に、水槽の温度管理が不十分であると、円柱状のペレットが扁平な断面あるいは歪んだ星形断面のペレットになったりする。
この現象は成形プロセスまで影響しなければ異常として扱う必要はないが、仕様として「円柱状ペレットであること」と決められていた場合には品質規格外となる。結晶成長速度の問題が、このような品質問題として現れる場合もある。
ペレットのDSCを計測してやると、ペレットの断面がきれいなサンプルと、歪んだ形状のサンプルでは、異なるデータが得られる。
しかし、TGAを計測してみても差異が無い。歪んだペレットだけを集めて射出成形をしたサンプルについてTMAを計ってみても断面がきれいな丸形のペレットとの差異が無い、ということがある。
大切な注意として、TMAとTGA,DSCの3種類もしくは2種類のデータをそろえて比較したいときには、昇温速度を揃えて測定しなければいけない。
この3種の分析装置で昇温速度を揃えてデータ収集する場合には10℃/minの昇温速度が良いのではないか。
但し、DSCについては一般に20℃/minの条件が推奨されている。TGAでは、2から5℃/minの昇温速度が推奨される。
先に述べたように昇温速度は熱分析で得られる曲線の形状に影響を与えるので、運用にあたっては注意する必要がある。
カテゴリー : 高分子
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