2019.08/12 科学の方法
技術開発において科学の果たした役割は大きい。まず、科学の誕生により技術開発のスピードは急速に高まっただけでなく、その成果の伝承も確実に行われるようになった。
だからといって、科学誕生以前から行われてきた技術開発の方法論が否定されて良いとは思わない。
そもそも科学と技術は、その目的とゴールが異なる。科学は、小学校から習ってきたように真理の追究が目的であり、そのゴールはたった一つの真理となる。
技術は人類に有益な新しい機能を創り出すことにあり、そのゴールは創り出された新しい機能である。すなわち、新しい機能が具現化された「モノ」ができている必要がある。
ここで、まったく新しい機能を創り出すことは、大変難しいが、人類は科学誕生以前からそれを自然界から「見つけ」「取り出す」作業により、実践してきた。
これは、学校でもあまり教えられい、企業で技術開発でも経験しない限り習わない技術の伝統的方法である。この単純な方法で確実にモノができる。
科学の方法は、仮説設定と論理が重要で難解である。難解であるがゆえに小学校からその方法を学んでいる。小学校から学んできてもなかなか身につかないので、ロジカルシンキングの社会講座や高額なセミナーが未だに人気である。
問題は苦労して身に着けてもそれだけで技術開発をするには無理があることを教えていないことである。科学の方法さえ身に着ければモノができる、と言う誤解である。
単純な方法であるが、技術の方法も身に着けない限り、技術開発でモノを創り出すことが難しい。ただし、出来上がったモノについて解析や分析は科学の方法だけでできる。
換言すれば、技術開発の成果が具体化されているときのみ科学の方法でモノを造ることが可能になるが、新しいモノを生み出そうとするときに科学の方法だけではできない場合がある。これを本当に理解している人は少ない。
カテゴリー : 一般
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