2019.10/20 新幹線の水没が示すもの
千曲川の堤防が決壊し、その結果車両基地に止めてあった新幹線が水没し、300億円の被害が出たという。
災害から日が経ち、状況が明らかになるにつれて、未曽有の災害という一言でかたずけられない問題が見えてきた。
一両でも被害にあわないようにしようという努力が全然なされていなかったのだ。また、それは規則上不可能だったという。
千曲川の新幹線水没以外にもっとおかしなことが多摩川の氾濫で起きている。避難してきたホームレスが避難所で住所が無いという理由で追い返されたのだ。
この時追い返されたホームレスかどうか不明だが、多摩川の今回の氾濫でホームレスが1名亡くなっている。
新幹線の水没やホームレスの避難問題が示すのは、緊急事態に硬直して機能しなくなる今の組織社会である。緊急時に火中の栗を拾おうとする人物が一人もいない社会である。
退職してからある企業で当方の成功体験を話したら、そこまでしてテーマを成功させる必要はない、と言い切った管理職の方がおられた。
お客様になるかもしれないので議論を控えたが、できる可能性があってもリスクを冒すぐらいならば、やらない方が良い、というご説明であった。
当方が伝えたかったのは、リスクを組織として責任を負い、テーマを成功に導くことの重要性だった。
この管理職のご意見は、そもそもリスクがあるようなテーマは適社度が低いのでだめな仕事だ、としたり顔でいう。
しかし、そのような視点は30年も事業が継続していた理由や現在もPPS製中間転写ベルトが生産されている状況を説明できない。また、今時リスクのないイノベーションなど存在しない。
空前のラグビーブームである。ラグビーが面白いのはルールが単純であるだけでなく、チーム一丸となって個人の犠牲を顧みず、トライするために今なすべきことを一人一人が判断し行動している姿がゲームから見えてくるからである。
ゆえに、素晴らしい自己犠牲のプレーが出ると感動する。トライしていなくても震えるほどの感動をこのようなプレーごとに体験することができる。これは、他のスポーツでは味わえない体験である。
ラグビーの対極にあると思われる野球で面白いのは、珍プレーが見られることだ、と言っていた人がいるが、これは野球と言うスポーツをうまく言い表している。集団競技でありながら個人技が重視されているスポーツだからだ。
野球だけでなく集団スポーツのいくつかでは、チームプレーよりも個人技が優れているチームが、すなわちスター選手の有無がチーム全体の力量を決める。
しかし、ラグビーは個人技も大切だがそれ以上にチームプレーにおける自己犠牲とそれを活かそうとするチームプレーが重視されるスポーツだ。
さらに、ラグビーの良いところはその自己犠牲のプレーをメンバーがほめたたえているシーンを見ることができる点である。
ラグビーのような組織社会を作るにはどうしたら良いか。20年以上GDPが停滞している日本を変革するために必要である。
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