2019.11/03 首里城火災
10月31日の表題の火災について未だその原因が報じられていない。この火災ではいくつかの疑問点があり、ニュースをこまめに見ているが、現代における建築火災への対応としてみたときにお粗末なところがある。
まず、初期消火が何も機能していなかった点である。第一発見者は警備員と報じられているが、実は煙が出て火災に燃え広がる前の様子を黙ってみていた人がいるとインターネットにその証拠が載せられ、NHKの第一報はその写真が使われたという。
また、正殿が燃え盛る様子を庭内から撮影した動画がSNSで拡散しており、誰が撮影したのかが話題になっている。
これらは警察の取り調べが進むとニュースで詳細が報じられるだろうが、とりあえず第一発見者の警備員が現場に来たときにもう手が付けられなかった、という点は防火対策の観点から奇妙だ。
多くの観光客が訪れるところは、突然の火災から観光客を守るために建築の防火基準が存在する。果たして首里城は現在の建築基準法に準じて建てられていたのだろうか。
また、首里城内部には初期消火用の消火栓があったというが、今回の火災では使われていなかった原因は何か。また、5基あった設備のうち一基が国により撤去されその補充が成されていなかったとも報じられている。
もうそろそろこのような点について問題を整理して報じるニュースが出てきてもよい。火災発生時から報じられている画像を見ていて、難燃化技術の専門家の目には不審点ばかり見えてくる。
よく燃えた理由などニュースで説明されても正しい問題は見えてこない。少なくとも30年以上前から建築物の防火基準は厳しくなっているので、あのような火災になった真の問題は、文化財の防火対策にある。
コンクリートの名古屋城を木造にしようという計画が名古屋で進んでいる。文化財をどのように後世に残すのか、という観点でもう少し議論した方が良い、と当方は考えている。内部の貴重な文化財を火災から守る観点ではコンクリートでも良いような気がしているが—。
カテゴリー : 一般
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