2020.01/03 AIの登場で科学者はどうなるか
科学は、論理学の成立とともに生まれた、というのが定説であるが、論理学の成立をどのあたりから考えるのかにより、その定義が変わる。
大半の科学者は今の科学の研究で用いられる論理学で科学を定義づける。マッハは、「マッハ力学史」でニュートン力学さえも非科学と位置付けた。
科学の大衆への普及はホームズ探偵で知ることができ、そのためIBMのAIはワトソンと名付けられた。すなわちAIはホームズの助手であるとともに人間を超えられない位置づけに考えられている。
しかし、AIの処理可能なデータ量は人間のそれをはるかに超えAIの活用により科学者のポテンシャルは飛躍的に高まる可能性がある。
換言すれば、単なる従来理論の検証程度の論文を作成している科学者は確実に不要となる。なぜなら、過去の膨大な論文から従来理論の検証ができてしまうからだ。
今後求められる科学者は、論理学で結論を出せる従来のパラダイムを超えた新たなパラダイムを提案できる科学者である。
新たなパラダイムとは何か、と質問しているようではだめである。新たなパラダイムの一例は、現在のパラダイムで見出せない現象を機能として実現できることである。
技術者は、従来のパラダイムにとらわれず、とにかく現象の中から新たな機能を取り出す努力をしてきた。すなわち、技術者の中から科学者に転じるトレンドがAIの時代の新たな流れである。
過去にもそのような流れがあったが、多くの科学者は研究者のキャリアから成長していった。今後は一度技術者を経験しなければ科学者になれない時代となるのかもしれない。
カテゴリー : 一般
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