2020.01/04 技術者教育が変わる
20世紀に技術者は、科学的に技術開発を行うことが重要視された。当方もそれに従い技術開発を行っていたが、科学的に現象をとらえ、その後の手続きを経て機能を取り出すという作業が、次第に面倒になった。
技術とは人間の営みの中で生まれる、とはまことに至言であり、人間の営みにおいては、それが科学的であるかどうかよりも実現された機能がまず優れているかどうかが優先される。
優れた機能を取り出すことができれば、それが科学的であったかどうかはどうでもよく、必要であればあとから科学的に色づけすればよい。
高純度SiCは、そうして生み出された。すなわち科学的ではなく技術として高純度SiC合成プロセスをまず完成し、その反応について超高温熱天秤を新たに開発し、科学的に均一素反応であることを証明している。
学位論文ではその動力学的解析を展開しているが、学位論文に書かれた手順で技術開発したのではない。技術がまずできて、科学的研究を後付けしている。
さらに、焼成条件に至っては、必死でお祈りしたエネルギーが温調器の原因不明の暴走を引き起こし、それが特異な焼成パターンを生み出してくれたので成功している。
まさにオカルトまがいの技術であったが、科学的に解析してみると理に沿った技術だった。カオス混合機に至っては、混練の神様から提示された謎を30年以上考えてきて、瞬間芸的に開発できた。
これは科学的にまだその機構を解析できていないにもかかわらず、その効果は大きく、それを活用している会社では性能の低い二軸混練機の先に取り付けて高品質のコンパウンドを製造することに役立っている。
こうした経験から新たな技術者教育の重要性に着目し、現在の会社を起業して10年となる。当方のセミナーではこのようなコンセプトで講演を行っているので今年もご参加よろしくお願いします。
カテゴリー : 一般
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