2020.01/09 事業企画
事業企画に関する指導書は多く出版されているが、これらの書には共通して企画書の重要性が指摘されている。
これは昔から言われていることで、ゴム会社では、企画書の前に文書の書き方を徹底して新入社員研修で身につけさせられる。
そして、A4用紙1枚で報告できるスキルを身に着けるよう求められるが、これがまず最初の壁となる。その次の壁は、その一枚を1分で理解できるようにまとめるスキルである。
しかし、これらのスキルは事業企画の指南書や多くのコンサルタントの指摘することだが、社内の根回しや社外との連携については、その重要性は指摘されつつも具体的な指導事例は少ないか、その事例を自分の業務に活かせない場合が多い。
理由は簡単で、根回しにしても社内風土の影響を受けるのでその方法を具体的に述べようとすると多数を列挙することになる。
社外との関係も同様で、企業との交流にしても取引関係に無い場合など工夫が必要になるにもかかわらず、それについて触れようとすると状況により書きにくいことも出てくる。
結局根回しや外部との連携について一般論で終始することになる。ゴム会社と写真会社の異なる風土を経験して見えてきたことは、一般論で対応していては失敗する場合もあるということだ。
例えば根回しについてもキーマンを抑えたつもりが、そのキーマンが最も自分の企画に反対していた人だったり、社外との連携を目論んだが契約できないだけでなく、良いところを持っていかれた、など事業の厳しさを学ぶことになる。
かつては、住友化学と三井化学との合併劇の最終段階でお釈迦になった例がある。新聞発表までされて人事交流まで行われ、誰もが一大化学企業が誕生すると思っていたが、泡になって消えたのである。
一方で、社内の誰もが失敗すると思っていた事業が30年も続き、発展のために事業売却された例もある。
ほとんど成功すると思われていた事業企画が簡単に失敗し、企画すら通らないと思われていた事業企画が事業として成功する、これは運だ、と決めつけるのは簡単である。
ところが、成功するためのコツを体系化するのは豊富な失敗や成功体験が無ければ難しい。ましてや、実務経験の無いコンサルタントにその指導ができるとは思えない。お悩みの方は弊社へご相談ください。
<事例>
コンパウンド開発の基盤技術も無く、社外からコンパウンドを購入して成形体を開発してきた企業で、製品化までの期間が半年しかない状態で、コンパウンド工場を建てて半年後にはコンパウンドの内製化で製品の事業を立ち上げる、という博打のような新規の企画をあなたは立案し成功させることができますか?
→このケースでは、まず身内の大反対にあい、企画すら立案できない事態になることをどのように対策するのか、を解答できることが重要である。大抵の指南書にはこれが書かれていない。すなわち、企画以前の問題と捉えられている。実務の中には、すでに進行しているプロジェクトを成功に導くために、単なるプロジェクトの見直しだけではなく、新たな企画を立案し、マンパワーを集結しなければいけないケースもある。このとき問題となるのは、既存のプロジェクトのままでよい、と信じて疑わないメンバーの存在である。実際にこの事例では、既存のプロジェクトはそのまま運営され、外部のコンパウンドを使用した成形では製品化に失敗している。新たに企画されたプロジェクトで成功し、無事製品化が行われているが、これはマジックではない。企画に立案された戦略と戦術を駆使して成功に導いている。
カテゴリー : 一般
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