2020.02/05 武漢受け入れ業務
武漢受け入れ業務を担当していた内閣官房職員の自殺が報じられた。ただ右から左へ仕事を受け流すことができない、生真面目な人だったらしい。
自殺された方が、内閣官房と武漢帰国者との板挟みになられ、ストレスで自殺に至った様子を組織で類似の板挟みについて経験された方なら理解できるかもしれない。
社会における組織業務では程度の差こそあれ、責任ある立場になれば、誠実真摯に仕事を遂行しているときにこのような板挟みが生まれる。
板挟みを解消するためには、第三者がどちらかの板を取り除かない限り、挟まれている本人は、自殺するか退職するか、二者択一以外に逃げ場が無くなる。
組織のあるべき姿は、本来このような板挟みを解消できるような運営ができていなければいけないが、組織を運営しているのが人間である限り悲劇的問題が起きたりする。
例えば、板を取り除く役割の担当者が不誠実であると自殺者が生まれる。板を取り除く役割の担当者に勇気が無く、板挟みにあっている人に生きる勇気があれば辞職者となる。
STAP細胞の時にも職場における自殺者がでたが、職場を死に場所とする自殺の多くは組織に対する沈黙の抗議というメッセージと言われている。
新入社員時代に半年もかけずに開発したホスファゼン変性ポリウレタンフォームを工場試作まで行い始末書を書かされた経験があったが、これは、本来書くべき人が下位職者に責任を押し付け、それが最下層まで落ちてきた結果だ。
テーマ決定権の無い新入社員に始末書を書く資格があるかどうか不明である。女性の指導社員によれば新製品会議で課長が新入社員がやりたいといったのでやらせたと応えたそうだ。
当方がごねれば、指導社員が板挟みになったのかもしれないが、指導社員は始末書の書き方について課長に相談するように、と板挟みとなるのを回避しているので誠実ではないが賢明な人だった。
当方は、ごねる代わりに、始末書で新テーマの提案(注)を行って製品化という成果を出したが、学会発表の役割を頂く以外の評価はもらえなかった。
ただ、当時は板挟みとなってもそこからするりと逃げ出す判断ができるだけの余裕があった。
他社買収後はそのような逃げ道はふさがれ、とんでもない事件が起きている。右から左へ受け流す仕事が許されるような風土は今回の事件を防ぐ一つの運営方法かもしれない。
しかし、組織のあるべき姿を目指しそれぞれの職位が誠実真摯に業務に当たればこのような事件は起きないだろう。組織運営では板挟みを発生させてはいけない。
(注)燃焼時にガラスを生成し、ポリマーを難燃化する、という斬新なアイデアでできるかどうか不明だった。しかし、始末書の相談時にそのプロトタイプを用意していたので課長は納得した。課長が右から左へ流しやすいように相談をしたのである。
カテゴリー : 一般
pagetop