2020.03/06 ホームズとコロンボ(2)
刑事コロンボでは、最初に事件の全貌が描かれ、視聴者はコロンボよりも先に犯人を知ることになる。
視聴者は、犯人や犯行が行われた事件の全貌を知り、コロンボがどのようにこの情報を正しく集め、犯人逮捕に至るのかを楽しむことになる。
すなわち、ホームズの小説ではホームズ「とともに」読者は犯人逮捕までのプロセスを楽しむのだが、コロンボのドラマでは、コロンボが「どのようなプロセスで」犯人逮捕を行うのかを楽しむ倒叙探偵小説のスタイルになっている。
ドラマの中には、コロンボがいきなり犯人に事情聴取する場面が登場する場合もある。ただし、その時コロンボは事情聴取の相手が犯人であることを知らないので誤った情報を信じることになる。
いろいろ情報を集めていく中で、コロンボは集められた情報の中の矛盾点に気がつく。するとこんどは矛盾点を解消するために行動をはじめ、誤った情報を発信している人物に疑惑の目を向ける。
コロンボが犯人逮捕できるためには確実な証拠が必要であるが、時にはその証拠を得るために犯人に罠を仕掛ける場合もある。
すなわち、コロンボは実際に集めた情報(データ)をもとに犯人に迫るが、情報不足の時にはデータを得るために実験も行うのだ(データ駆動型捜査スタイル)。
データの突合せこそ論理的に行っているように見えるが、必ずしも論理ばかりではなく情緒的に判断したり犯人に近づいたりするシーンも登場する。
「ウチのカミさんがね」という口癖のあとに、科学の香りも論理もへったくれも無い格言が出てきたりする。コロンボはホームズとは異なる頭の構造である。これが技術ではスピード感のある開発を生み出す。
カテゴリー : 一般
pagetop