2020.03/23 ”パンデミック”との戦い
昨日夜9時からNHKで放送された番組では、なぜPCR検査を抑制しているのか、なぜ3条件の重なりを避けなければならないのか等の解説が現場のリーダー押谷仁氏から丁寧になされた。
日本では社会活動の制限を最小限にして何とか持ちこたえている状況という。これは欧米の状態を見ると信じるにたる説明だろう。と同時にこれほど科学的に不明点の多い問題とは知らなかった。
特にエアロゾルの生成機構などコロイド化学ですでに解明されている分野であるが、この化学の内容がこのウィルス分野の専門家に共有されていないらしい。専門家の不勉強である。
昼のワイドショーなどで日本のウィルス対策についていくつか批判的なことが言われてきたが、昨晩の説明では批判の対象となっていることについては医療崩壊を防ぎウィルスとの戦いにおける日本独自の戦略ゆえとのこと。
当方は専門家ではないのでわからない説明もあったが、昨晩の放送を見た限りにおいては、とにかく政府を信用して行動したほうがよさそうだ。
今ウィルスとの戦いは、技術と科学の両者を駆使する必要があり、科学的に100%正しいと結論を出せない対策も含まれてくる。
そのような対策にはそれぞれの専門家から批判は出るだろうが、見えない敵と戦うためにはとりあえず政府のリーダーシップを信じなければいけないだろう。
ところで、今回のウィルス騒動で学ぶべきことがたくさんある。例えば、なぜ研究開発を始める前に細かい計画(注)まで作る必要があるのかと言うことである。
企画を立てる立場では、情報が少ない中でそれは大変な作業で可能ならば避けたい。しかし今回のウィルス騒動で分かったように、施策についてその目的や予想効果が共有化されていないと批判の嵐が巻き起こる。
例えばPCR検査数の少なさやクルーズ船における防疫行動ではワイドショーはじめニュース番組では批判ばかり報じられていた。(しかし、今の時点で批判は的外れであり、押谷氏のリーダーシップは大衆とのコミュニケーション能力を除き100点である。)
もし、その目的と効果が十分に説明されて国民に共有化されておれば批判は起きなかったろう。わかりやすい情報の共有がどのような場面でも重要である。
研究開発企画において、ゴールと計画は共有化すべきかつ共有化しやすい情報の一つである。仮に完璧な計画を作成できない状況でも、仮の計画を作ることで実施者が何をどのように考えそれがどのように展開されてゆくのかを時系列で共有化することが可能となる。
不完全な計画でもよいのだ。お互いの考え方を共有化するときに「計画」という形式は、ゴールの共有化のために有効で、とりあえず安心できる。昨晩工程表が発表されなかったのは残念である。
外れても良いから、収束までの計画を教えてほしかった。公開しても敵(ウィルス)には理解できないはずである。それができなかったのは、計画(注)すら立てられない科学の状況と判断している。
おそらく押谷氏は今回のウィルス感染を実験場とみなしているのかもしれない。彼のウィルス対策技術者としてのスキルが高いことを祈る。まだ死にたくはないし、家族は老人なので感染もできない。今優秀な科学者よりも腕の良いウィルスバスターを信じたい。
(注)科学的に未解明の現象が多い研究分野の状況を理解しすぎていると計画を立てにくいものである。このような場合に、例えばアローダイアグラムなどは作れない。それでは、仮の計画なり工程表をどのように作成したらよいのかは、コツがある。知りたい方は弊社へご相談ください。
部下に計画を作れ、と言っても開発経験が少なかったり、研究歴が長かったりすると立てられないものである。
一方で計画を立てることが好きな部下に退職前出会ったおかげで、計画を立てられない人には共通の問題があることに気がついた。すなわち、その問題を取り除いてやれば、誰でも計画を立てられる、ということを発見した。計画立案は、難しい人には大変困難な作業であることを知ることは、マネージャーとして必要である。
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