2020.05/28 ギター(5)
ギブソンES335の品質についてもう一つ面白い話がある。東海楽器製造というピアニカで有名なメーカーは、昔マーチン社と技術提携し、マーチン社の安価なギターをOEM生産していた。
その技術を活用して製造されたキャッツアイブランドのギター(ドレッドノート)は1970年代マーチン社のギターよりも品質が高く安いと評判になり、よく売れた。しかし、ギターブームが去り、今キャッツアイブランドのギターは全品韓国製である。
それでは東海楽器はギター生産をやめたのかというとそうではない。エレキギターの生産が中心である。そしてES335タイプのコピーも製造しており、これがギブソン社よりも品質が高いとしてマニアの間では評判である。
しかし、素人が東海楽器のES335コピーモデルを購入するとがっかりすると言われている。
実は東海楽器はES335の1959年モデルのコピーを製造しており、現在ギブソン社から販売されているモデルES335のコピーではない。すなわち、ギブソンのES335には古いタイプと新しいタイプでピックアップが異なり音色が違うのだ。
ただ、古いタイプのES335を好みの方には、東海楽器のコピー品は最高らしい。実際に楽器店で東海楽器製のES335を見てみると、細部にわたり丁寧に処理がされており、本家のギブソンES335よりも高品質である。
機械化された木工技術において日本と外国との品質差が生じるのは、恐らく職人のモラルが影響していると思われる。当方は技術者として現場で仕事をする機会が多かったが、日本の職人のモラルは諸外国と比較し高い。
人件費の高騰で日本から中国、そして今はASEANへ工場が出て行ったが、高いモラルを維持できる日本の工場のメリットを生かせる製品であれば、生産現場を日本に戻しても良いのではないか。
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