2020.07/11 ポストコロナ禍の企業
テレワークがうまく進んだ企業とそうでない企業があるようだ。現場で作業を行わなければいけない企業はテレワークが難しいと言われるが、そうではない。
30数年現場で実験を部下とともに行ってきた経験からすれば、現場の作業が多い人ほどテレワークを導入すべきである。
すなわち、事務所の机など片づけて、現場の一角にテレワーク用の場所を設ければよい。それが一番効率が上がるはずである。
当方はゴム会社で高純度SiCの事業を立ち上げてきたが、転職までの3年間は一人で仕事をしていた。そこへ電気粘性流体開発のお手伝いテーマが飛び込んできて、その耐久性改良や電気粘性効果を高める3種の構造粒子の開発を成功させている。
そしてFDを壊され転職している。この3年間大量の仕事を効率よくこなしているのだが、一番の特徴は必要なとき以外事務所にほとんど顔を出さず、実験室で作業だけをしていたのだ。
実験データをFDで家に持ち帰り、会議などの資料作りは、休日も使ってほとんど自宅で行っていた。そして残業代もほとんど申請していなかったので、写真会社から転職条件を提示されてびっくりした。
当時のゴム会社は30時間ほど残業申請すると世間並みの給与になると言われていた。そのような状況で過重労働をしながらも残業代の申請をしていなかったので給与は少なかった。
ただ使命感だけで仕事を誠実真摯に実行していたわけだが、そこで事件に巻き込まれ転職することになった。今から当時の状況を思い出すと、管理職がいなくても仕事が進む研究職の実態がある。
管理職がうまく機能していれば事件は起こらなかったろうし、また起きてもうまく解決していたはずだ。しかし、事件自身は異常なことであり、正常な部分に目をやれば、管理職などいなくても成果が出て仕事が進んだ事実がある(注)。
そして、たった一人で3年間に住友金属工業とのJV立ち上げと電気粘性流体の増粘問題解決、電気粘性流体のオイル設計、粒子設計などで成果を出している。これは特許を調べていただければわかる。ただし、特許にはお約束で発明者に関係者の名前が入っているが、仕事はたった一人で行われたものだ。
(注)管理職がいなかったから効率よく進んだのかもしれない。この体験があったので、写真会社に転職し、管理職となってもマネージメント業務以外の空いた時間は、実験をしていた。管理業務は部下の女性が実験補助者として多数いたので彼女たちにお願いしていた。笑い話になるが、彼女たちの実験補助の仕事を当方が代わってやっていたら、主任研究員の直属上司が嫌な顔をしていた。管理職の実態は、効率をあげればかなりのまとまった時間を生み出すことができる。マネージメントにそれほど時間がかかるとは思えないのだ。考える時間は電車の中にいっぱいある。
カテゴリー : 一般
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