2020.07/20 高分子の熱分析
高分子の分析手法として、熱分析は1980年代までに学会で積極的な議論がされていた。そして、トリッキーな測定方法も開発されたりしたが、最近はあまり話題にならなくなった。
高分子を実務で扱っている人が驚くのはその分析費用であり、社外で分析をお願いするとサンプルの処理時間も含め2時間程度で終わっても10万円以上する。
もし、高分子材料を品質管理しなくてはいけない企業では、TGAやDSC程度は自前で持っていた方が経済的である。できれば粘弾性装置もそろえておきたい。うまく使用すれば、今時の装置は30年使用できる。
転職した写真会社には製造された年代から20年前の装置と思われる熱重量分析装置があったが、十分使用できた。
ところで、品質問題の原因を探るために高分子材料を分析しようとしたときに、まず何から始めるのか?これは問題の内容により様々であるが、問題の内容にかかわらず、TGAとDSCは測定しておきたい。できれば、カスタマイズした粘弾性データも取っておきたい。
品質問題の原因となったロットと正常なロットでは、これらのデータのどこかに差異が現れるからだ。その差異について、必ずしも形式知から考察できる必要はない。
データが蓄積されて、品質問題の傾向との関係が見えてくれば、その相関関係を考察するとノウハウが生まれる。
これは今話題になっているマテリアルインフォマティクスという概念のカテゴリーであり、詳しく知りたい方はご相談ください。
カテゴリー : 高分子
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