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2020.08/14 写真と絵画

写真があれば写実的な絵画は存在意味が無くなるのでは、と言っていた人がいた。それなりに理解できる意見ではある。

 

しかし、写真機が登場しても未だに写実的な絵を描こうとする人がいる。例えば富士山の絵にしても、天気の良い日にシャッター押せば、日曜画家の絵よりもきれいな富士山をプリントすることができる。

 

このように考えている人は、絵を描いている人の気持ちを理解していない。当方も十分に理解できているわけではないが、絵を描くことと写真を撮ることには、全く異なる目標があると思っている。

 

例え写実的な絵画は、その写実性において写真には勝てない、という人がいたとしても、別の意味で写真よりも写実的な絵画が存在する。

 

これは、科学と技術に少し似ているところがある。技術は科学登場以前から存在し、その技術を考えるための思考法も存在した。ヒューリスティックな解を得ようとする問題解決法は、まさしくそのような技術的思考法である。

 

科学では厳密なアルゴリズムで問題解決を行う。その結果、曖昧性は排除され、時間をかけながら唯一の解を求めることになる。

 

絵画はいくらオブジェクトの正確な写実性をそこに求めても写真には負けるだろうし、そこを追求しても絵画の意味は無い。

 

絵画には同一オブジェクトを描いたとしてもそこに作者の思いが写真よりも自然に反映される。絵を描くことはオブジェクトと対峙している自分の気持ちを映し出すことでもある。

 

写真も同様の目的があるが、写真では絵画に比較し、オブジェクトの写実性が高いゆえに多くの制約が生まれる。ゆえに写実性という観点で、写真と絵画に優劣をつけるときには、注意する必要がある。

 

オブジェクトを表現するという視点で、絵画は必ずしも写真より写実性が劣っているというわけではない。

カテゴリー : 一般

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