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2020.09/27 高純度SiCの発明(3)

フェノール樹脂とエチルシリケートの組み合わせを高純度SiCの原料に用いることが新規であることをどのように知ることができたのか。

 

簡単である。大学院時代に在籍した研究室でSiCウィスカーの研究をテーマとしていた研究者が数人いて、彼らの輪講や研究報告会に欠かさず出席していたからである。

 

そこでもフェノール樹脂やエチルシリケートを原料とした方法が研究されており、失敗している。すなわち、この原料の組み合わせは高純度SiCに不向きであることが科学的に証明されていた。

 

論文には書かれていないが、失敗実験のデータとして報告され、その失敗の原因がSP値にあったからである。高分子の世界ではフローリー・ハギンズ理論で否定される組み合わせだった。

 

すなわち、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を均一に混合し安定な前駆体を製造することは、科学的に困難な技術とされていた。

 

よく技術は科学の成果であるから科学の研究に力をいれよ、という人がいるが、科学を信じれば信じるほど技術開発が難しくなる、というパラドックスをそのような人はご存じない。

 

技術開発で少しでも成功体験のある人は、一応周囲への配慮から科学への殉教を誓うが、内心は非科学的でも成功する可能性のある限り、なんでも実行しようという考えを持っている。

 

科学が進歩すればするほど、そのような人でなければ新しい発見ができなくなるから面白い。

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