活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2020.11/15 技術者の解放(5)

技術者にとって、科学は最も重要な道具である。AIの時代となり、ますますそれが鮮明になってきた。AIの科学者を量産することはできるが、技術者のAIを量産してもコストに合わない。

 

技術者とは、形式知同様に経験知や暗黙知を重視する。これらは技術者個々により、身に着けている内容が異なるし、昨日の暗黙知を否定する新たな暗黙知を今日作り出すような気まぐれさも技術者の特徴である。

 

技術者の暗黙知をAIに教師データとして教え込んでも使い物にならない。そもそも暗黙知をAIに教え込むことは困難である。暗黙知は情熱や感情にも左右される。技術者は、やりたくない仕事あるいは経験のない仕事でも科学を道具として使い、学習し、挑戦する。

 

電気粘性流体は、やりたくない仕事だった。しかし、住友金属工業と高純度SiCの事業化を始めたと言っても所属が研究所である限り、やらなくてはならない。

 

「界面活性剤ではなく、第3成分と呼べ」と言われても、電気粘性流体の耐久性問題を解決できたのは、紛れもなく界面活性剤を添加したからである。しかし、組織の中で働く技術者は、上司に従うか、上司に不満であれば転職するかの2択しかない。

 

組織に残るならば、第3成分と自分を納得させるよりどころが必要になる。技術者は機能の動作について、自分の納得のゆかない動作を改良することができないからである。

 

 

カテゴリー : 一般

pagetop