2020.11/18 技術者の解放(6)
技術者は自分を納得させるために科学を道具として活用する。科学的に導き出された結果であれば、現代の技術を開発するためにそれは現代の物差しとして使えるからだ。
統計は、このような場合に便利な科学的道具である。「統計でウソをつく」という本があるように、科学の道具として珍しく柔軟性がある。悪が使えば凶器にもなる。
「女性の何%は**だから、**」という口説き方もあり、恋愛の道具になったりする。科学に毒された女性ならば、簡単に口説くことができてしまうのも統計が科学の道具として愛用される理由でもある。
ただし、女心は秋の空、という言葉が示すように、魅力的な女性は統計で語ることのできない技術者のようでもある。
秋の空のようにその心の変化をつかみにくくとも、現象から機能を取り出す技術者と同じような考え方の背景のようなものが女心にはある。
そこを男性は理解しようと努めなければ、女心に永遠に振り回されることになる。女心を取説に例えた歌に騙されてはいけない。それを信じるのは科学的問題解決法で問題を解きはじめようとする愚行だ。
まず、最初にやらなければいけないことがある。弊社が提案している問題解決法では、多くの科学的問題解決法が教えていない最初のステップを大切にしている。
多変量解析は、大量のデータを処理するときに便利な科学的道具である。女心さえもこれで処理できる、と科学者は誤解する。ただし、処理するときに用いたデータのよりどころ、時代背景を付記することを忘れてはいけない。
江戸時代の女心のデータを多変量解析にかけた結果と現代の女心のデータを多変量解析した場合では、まったく異なる結果になるはずだ。もし一致する結果となれば、それは時代を超えた普遍的な形式知と呼んでも良いような成果である。
このような思惑で、マテリアルインフォマティクスという学問が今流行している。多変量解析だけでなく、シミュレーションも駆使して、科学者たちが一生懸命に、あたかも技術者が科学を道具として活用するように取り組んでいる。
科学と技術の境界線は時代により変化するといった人がいるが、まさか科学者が技術者のような仕事を行う時代になるとは想像していなかった。まさに業務改革花盛りである。
カテゴリー : 一般
pagetop