2020.11/24 技術者の解放(11)
科学で二律背反となる問題でも技術者は解決しなければいけない。もし、人間の生活に利便性を与える機能でありながら、科学的に二律背反の現象ゆえに実用化できない問題を前にしたならば、技術者は常にそれに向かってチャレンジしなければいけない。
また、そのような意欲が湧かないならば技術者としての適性は無い。これは訓練でどうにかなる問題というよりも動機付けが重要である。
適性がないのに技術を担当している若者には動機付けで気づきを導き学ばせる。もし、本当に適性が無い、と悟った若者ならば転職する。みかけで適性が無いようならば、気づき、学び、自ら訓練する道を選ぶ。
スポーツに夢中になっていて仕事に身が入っていなかった若者に学位を取得させたところ技術開発に興味を示しはじめた体験は、動機づけの重要性を教えてくれた。
技術開発では、科学的に二律背反の現象にたびたび遭遇する。電気粘性流体に配合されていた粒子は、帯電しやすくて電流も瞬時に流せる物質が理想とされ、科学的に考えるとそのような物質は無い。しかし、技術者はこのような二律背反の物質を創り出さなければいけない。
当時研究で使用されていた生焼けのカーボンは、この二律背反を満たす特異な物質としてその解析が行われていたが、品質が安定していなかっただけでなく、性能も不十分だった。
耐久性問題を解決後、その粒子を開発したいと申し出たら、どうして当方にそれができる自信があるのか、と問われた。自信については答えようがないが来週3種類の粉体を提供するので評価してほしい、と「お願い」している。
カテゴリー : 一般
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