2020.12/15 アイデアの出し方(6)
形式知と経験知を整理しておくことは、大切なことである。少なくとも形式知だけでも現象を前にしたときにいつでも取り出せるようにしておきたい。
形式知だけでも整理されていると当たり前のアイデアを出すことが可能である。この当たり前のアイデアを基準にして、誰も気がついたことのないアイデアを出す方法と、過去に誰かが思いついたかもしれないアイデアを出す方法に分かれる。
前者は後者より難しいかもしれないが、芭蕉の不易流行を理解しているとコツをつかみやすい。しかし、後者の方が誰でも実践できるので、アイデアの出し方について後者から説明する。
不易流行と同じく温故知新は、芭蕉の俳句の世界を理解するために重要な「型」である。そして、この不易流行や温故知新の型は俳句以外に応用可能で、特に温故知新は容易に体得しやすい。
具体的な実践方法として20年以上前の特許を参考にする方法がある。20年以上前の特許に現代の科学の進歩を組み込むと新たな発明が生まれる。
酸化第二スズゾルを用いた帯電防止層の発明は、まさに温故知新で生み出されたアイデアの典型例である。この発明の基になった特許は、特公昭35-6616である。
当方が7歳の時の発明を30年以上経過して味わった感慨は、文章で表現できないものである。しかもその発明は、転職したばかりの会社の先人が出願していたのだが、転職先の部署では、この発明の存在に気ずかず否定証明し、酸化第二スズゾルは帯電防止技術に使えない、としていた。
すなわち、写真会社へ転職した時に新しい帯電防止層の技術がこの業界で研究対象になっていた。
そして、アンチモンドープされた酸化スズ(ATO)を用いた帯電防止層の研究開発競争が行われていたのだが、ライバル会社の特許網を抜けるのは容易ではなかった。
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