2021.01/08 高純度SiC開発(3)
A法の1成分とB法の一成分を組み合わせC法を発明するアイデア創出法をPPAP式発想法と当方は呼んでいる。
PPAPでは、リンゴとペンを組み合わせる論理的必然性あるいは科学的根拠は無いが、それをとりあえず組み合わせてみる。ついでにパイナップルも組み合わせてみる。最後は全部意味もないモノを組み合わせてみたが、完成した全体を眺めてみると言葉遊びになっているという優れた流れである。
二匹目のどじょうを狙ったブンブンは流行しなかったが、技術を考えるときにPPAP式発想を取り入れてみるのは、悪くはない。とりあえず組み合わせてみて全体を眺めて考察してみる、という行為は無駄ではない。確率は低いが新しい発見の場合にPPAP同様にホームランとなる可能性がある。
ポリエチルシリケートとフェノール樹脂の組み合わせは、科学を御存じであれば組み合わせ検討することはない。フローリー・ハギンズ理論から相分離して無駄な作業であることが実験をしなくても理解できる。
そこをあえてPPAP式発想法で考案したポリエチルシリケートとフェノール樹脂との組み合わせ(C法)を検討したのだが、この組み合わせからSiC前駆体を生み出すためには、少し技術的センスが必要となる。
技術的センス、といってもそれほど高度なことではない。科学的に考えると、実現性について否定され、仮にそこを越えたとしても他のA法やB法が実用化されていない現実がある、それを見てどのように判断するのか、という視点をもつことである。
技術的センスのない人は、ほとんど考えようとしない。ばかげた視点かもしれないが、一度その視点でPPAPを眺めて笑ってみるぐらいの柔軟さが欲しい。これが当方の言いたい技術的センスである。
技術が科学と大きく異なるのは、それが何千年も前から行ってきた人間の営みであることだ。遺跡を探すと古代人の技術成果のいくつかを見出すことができる。
ファーガソンの技術論を持ち出すまでもなく、「C法でゲル化してシリカと炭素が分子レベルで均一に混合された固体が得られれば、理想的な前駆体」となるあるべき姿を科学的視点で否定されても、一度眺めて考えてみて、そこを目指す判断は、科学者ではできないが、技術者ならできる。
さらに、仮にあるべき姿を目指した視点を持てたとしても、考察を科学の世界で進めていくと、膨大な実験が必要となる問題が見えてくる。
これを乗り越える勇気があるかどうかという技術的センスもまた求められる。しかし、これを科学的ではないという理由で愚かな考え方と思ってはいけない。
あのiPS細胞の山中先生も、このような科学にとらわれない柔軟な考え方でノーベル賞を受賞されているのだ。
ただし、ノーベル賞の実験に必要な知識ほど難しい内容ではない。ゼリーや寒天、煮凝りに興味を持たれた方なら容易にアイデアを出すことが可能である。
カテゴリー : 一般
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