2021.01/12 高純度SiC開発(7)
科学でわかること、あるいは理解できることと、科学の進歩が遅れているために、あるいは科学で本当に解明できないかもしれない現象の存在をいつの時代でも科学者と技術者は認識していないといけないが、今の科学教育はそれを否定或いは排除するような内容である。
このコロナの流行において、山中博士はファクターXの存在を提唱されていたが、一方でTVでファクターXは非科学的でそんなものは存在しない、と否定されている専門家がおられた。
コロナに感染しやすい人やしにくい人、あるいはコロナに感染しても死ぬ人と死なない人について、科学的にすべて解明されていると言えない状況で、また、それらが科学的に解明できるとも思えない状況で、ファクターXを非科学的と否定する人は、「実験をやる気が起きなかった」と言っていたゴム会社の研究所の先輩と同じである。
せめて、「ファクターXは科学的とは言えないが、ゆえにその存在に期待するのはばかげているかもしれないが、面白い発想である」程度に止めておくべきである。これは忖度ではなく、非科学的なアイデアさえも大切にして考えなければいけない感染爆発状態である。
換言すれば、科学的に説明できなくとも現在の感染爆発を押さえることができれば、日本中が喜ぶ。もし、あるアイデアを実施して感染を抑え込んだ時に、そのアイデアがアマビエと大差が無いという理由で、評価しない人がいたならば、それは命の大切さがよくわかっていない人だ。
科学的ということよりも、何でもよいから命を救うアイデアこそ価値があるのだ。
ポリエチルシリケートとフェノール樹脂とは経験知から工夫すれば均一に混ぜることができるのではないかと考えてはいたが、これが不可能である可能性が高いことは科学の形式知から理解もしていた。
確かに両者をそのまま混ぜることは困難かもしれないが、両者が反応してコポリマーとなったなら、異なる現象が現れる。ただし、両者のコポリマーの研究およびその周辺領域について研究レポートは存在しなかった。
非科学的で、情報もない、それでもフェノール樹脂とポリエチルシリケートとが反応して均一なゲル物ができたときに、それが高純度SiCの理想的な前駆体になることを期待できるならば、チャレンジする価値は十分すぎるほどあると考えた。
当時そのようなことを考えながら、企画を提案したり、全社の募集があった創業50周年記念論文に応募したりしたが、いずれもボツという結果だった。それだけでなく、そうした努力を研究所内でバカにされたりもした。
ここで若い人に教訓だが、仕事がうまく進行しなかったり、組織メンバーから軽蔑されたりしても、それが会社の方針に合致しているならば、あきらめず努力すべきである。必ず会社内には共感し援助してくれる人が現れる。
もしそのような人が現れなかったり、そのようなことを期待できる風土ではなかったりしたら、さっさと転職したほうがよい。社長方針を誰もが無視するような会社に勤務していても、その会社で働き良い貢献を成果としてだすことはできない。
ただし、転職の判断は、広い視野で判断すべきである。FD事件では研究所内で隠蔽化されたために転職を決断した。転職は社内広報にも掲載されるので、誰も隠しようがない最後の手段である。
カテゴリー : 一般
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