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2021.01/30 高分子の難燃化技術を考える(1)

ゴム会社に入社して10月に研究所へ配属されたかと思ったら、たった3か月で研究所内の異動により、ポリウレタンの難燃化技術を担当することになった。

 

当時大八化学が、各種リン酸エステル系難燃剤を開発し伸びていたころである。異動先のグループでは、硬質ポリウレタン発泡体天井材を上市した時であり、研究所内で勢いがあった。

 

課長(主任研究員)が、新たな企画を説明してくれたが、そこには「最先端の難燃化技術開発」とか、「不可能だった難燃性と物性の両立」など、華々しい言葉が躍っていたが、具体的な技術手段は何も書かれていなかった。

 

当時はこのような言葉遊びの企画でも経営陣がありがたがった時代である。具体的に何をすればよいのですか、と質問したら、課長は、若い頭で考えだしてくれたまえ、と言うだけだった。40年前は、これで優れたマネジメントができていると言われていたグループだった。

 

新しい指導社員と企画の具体化作業に入った時に、ホスファゼン変性ポリウレタン発泡体を提案している。当時ホスファゼンを用いた高分子の難燃化技術は、論文が出始めたばかりだった。

 

1970年代にアメリカのオールコック、日本では梶原鳴雪先生らが基礎研究を進め、アメリカのジェミニ計画では、ファイアストーン社で開発されたホスファゼンゴムが採用されている。

 

大学院の2年間無機材料の講座でホスホリルトリアミドの縮重合を梶原先生にご指導いただき、ファイアーストーン社のニュースと日本のゴム会社がサンプル取り寄せを行い研究している、という情報を調査して知っていたので就職先としてゴム会社を選んでいた。

 

大学院を修了し、ゴム会社入社式までの3週間弱の春休み期間に梶原先生のお手伝いをしてホスファゼンの研究を行っている。当方にとって趣味は研究であり、卒業旅行よりも楽しかった。

 

この3週間弱の自由な研究で、ホスファゼンのジアミノ体についてショートコミュニケーションと新規環鎖状型ホスファゼンポリマーに関する論文を書くための実験データを得ていた。

 

梶原先生から度重なる催促の手紙を頂いたので、ゴム会社に入社後研修中に論文を作成し投稿している。そのような経緯があり、ポリウレタン発泡体の合成において、反応型難燃剤としてホスファゼンジアミノ体を使用するアイデアを無理なく提案できた。

 

カテゴリー : 一般

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