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2021.02/01 高分子の難燃化技術を考える(3)

軟質ポリウレタン発泡体製造技術及び、それを実験室で簡便に行う方法など、軟質ポリウレタン発泡体を開発するための周辺情報についてそろったが、高分子の難燃化技術については、当時各社が競っていた時代である。

 

また、市販されているリン酸エステル系難燃剤について現在ほど種類が多くなかった。臭素系難燃剤について開発が盛んになるのはこの5年後である。

 

ただ、塩素系化合物と三酸化アンチモンとの組み合わせ難燃剤については、開発が先行しており、ゴム会社でも米国のタイヤ会社から技術導入した塩ビ粉とアンチモンとの組み合わせ難燃化技術が難燃性軟質ポリウレタン発泡体に使われていた。

 

この系の問題は、配合された処方を半日以上放置すると塩ビ粉やアンチモン系化合物が沈降し凝集して使えなくなる現象だった。また、この系の検討過程で難燃剤成分の分散状態が難燃性に影響を与えることも知られていた。

 

ところで、高分子の難燃化技術について、すでに一部難燃化機構が学会で議論されており、それなりの体系が見えつつあった。

 

教科書には、リン酸エステル系難燃剤による燃焼時の高分子の炭化機構が図示されており、また燃焼時に塩素とアンチモンが反応して塩化アンチモンが生成して空気を遮断する機構も解説されていた。

 

新しい難燃化機構として、溶融型や、炎から遠ざかるように変形する技術などが提案されていた。後者は当時の硬質ポリウレタン発泡体の難燃化技術として市場で成功していたかのように見えた技術である。

 

実はこの難燃化研究を担当してから半年後に難燃性天井材としてすでに販売されていた製品による火災多発が社会問題となっている。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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