2021.02/21 高分子の難燃化技術を考える(15)
「ある高分子材料を難燃化するには?」という問題を解くことはできない。これがすぐに解けるという人は、高分子の難燃化の実務を御存じない方だ。
高分子材料の用途が明確に決まって、はじめてこの問題を解くことができる。あるいは、この問題について、回答者がとりあえずの難燃化規格を決めれば、一応解くことができる。
材料の用途が決まると、その用途に対応した難燃化規格が存在する。難燃化規格が存在しない時には、その用途において関係する製品に準じた難燃化規格を採用し、材料の目標となる難燃性を決める。
すなわち、高分子材料を難燃化する問題では、まず評価技術として何を採用するのかが重要になってくる。用途が決まっていない材料については、とりあえずUL規格とLOIで測定された難燃性のレベルを付記することになる。
ここで、UL規格とLOIを持ち出したのは、前者についてこの規格を採用している分野が多いからである。UL規格以外にLOIを評価しておくとよい理由は、空気中の燃えやすさの基準として、多くの難燃化規格の中で直感的に理解しやすいからである。
燃焼が急激に進行する酸化反応であることを考慮するとLOIは、科学的な指標とみなしたくなるが、それが誤解を生む原因になることを以前書いている。
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