2021.02/27 高分子の難燃化技術を考える(17)
高分子材料が着火した時に空気中で自己消火性を示す材料設計手法には2種類あり、一つは炭化促進型材料設計手法で他の一つは溶融型材料設計手法である。
前者の考え方で設計された材料ではLOIが21以上となるが、後者の設計では常にLOIが21以上とならない。
LOIが21以下であっても溶融型材料設計手法で開発された材料は、自己消火性を示しUL94-V2あるいはH試験を通過する。
すなわち溶融型材料設計手法で難燃化された材料を垂直に立てて、炎を上部から近づけると自己消火性を示さない場合がある。
これに対して、炭化促進型材料設計手法で難燃化された材料は、どのような位置から炎を近づけても空気中で自己消火性を示す。
40年ほど前には、これ以外に加熱されると大変形を起こす材料も難燃性材料とされたが、現在はこのような観点で材料設計をする人はいない。
少し考えれば、火災時に難燃性を示さないことが想像されるのに、アカデミアの研究者の中には、学問的興味からこのような問題のある難燃化手法を広めた先生がおられる。
問題が起きてから黙ってしまわれたのは、無責任極まりないが、この先生のアドバイスを受けて、かつて台所用天井材が開発された歴史がある。
当方が高分子の難燃化技術を担当した時には、まさに市場の火消をやっている最中だった。安全靴とヘルメット、作業着を抱え、定期的に筑波にある建築研究所まで通った思い出がある。
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