2021.03/21 芸術と技術
美術や音楽を形式知の観点で眺めてみると、科学同様の進化を見ることができる。かつてパロディーについての芸術論争があったが、今は二次創作という分野が一つの市場を形成している。
オリンピックのエンブレムでは盗作騒動があったが、あの事件では審査員の問題も噴出して、盗作に至った背景まで露出した。その結果、盗作者の名前を忘れたが、ネットでは彼の過去の作品の解析まで行われた。
すると、多くの盗作事例が出てきたが、その事例の数々を見て彼の形式知の豊富さを知ることができた。盗作を自分の作品のように見せる技術というものは、それなりの形式知が無ければできない。
おそらく彼の知識を教師データとして用い、AIをある考え方で鍛えたならば、安価なデザイン創造ロボットを作り出せるのではないか。オリンピックの盗作者が残念だったのは、この「ある考え方」(注)ができなかったのだ。
弊社は、写真のスキルを用いてオリジナルデザインを生み出す方法の特許権を有しているが、芸術でも形式知の組み合わせにより、美を生み出すことが可能になった。
ただ、弊社が生み出すデザインは、オリンピックで問題となった盗作常習者のような下衆作品ではない。つねにオリジナルな美を生み出す点で盗作常習者を超えている二次創作である。これを一つの技術として特許を取得した。
技術では、特許により独創性の範囲が形式知で論理的に定義され独創性の権利が守られる仕組みが存在する。芸術分野では、著作権は存在するが、似ているか似ていないかの境界は曖昧となる。
実は、技術には「特許に抵触しないがそっくり技術というもの」が存在する。この存在により、技術は発展してきた。
それでは、芸術では許されない「そっくり」という創造物が、技術の世界で何故許されるのか。これを理解できると技術者としてのスキルを伸ばすことが可能である。また、「その理解」は、科学の理解も深める。
ところで、特許に抵触しないがそっくりな技術とは何か、といえば、機能は同じだが、その達成手段が異なる技術である。
全く新しい機能でその実現手段が唯一であれば、特許で保護され、その特許は基本特許となり特許として大変価値が高い。このような基本特許は、今の時代大変少ないのでそっくり技術が溢れることになる。
(注)芸術ではこの考え方に相当する形式知がまだ知られていない。これは、技術と芸術とのインターフェースの一つである。技術と科学にもインターフェースが存在するように、芸術と技術にもインターフェースは存在する。詳しくは弊社にご相談ください。弊社は科学から芸術まで幅広い視点で技術開発を支援しています。
カテゴリー : 一般
pagetop