2021.04/03 made in JAPAN
ニコンがカメラ本体の生産拠点をタイへ集約するという。すなわちもう日本製のニコンカメラは無くなるのだ。かつて、秋葉原を訪れる外国人がmade in JAPANのカメラを探している話題がニュースで報じられた。
すでに高価なカメラ以外は海外生産に移っており、一眼レフでもタイやベトナム製が大半を占めるようになってきたころである。ペンタックスはデジタルカメラになってすべてベトナム生産となっている。
レンズだけが一部日本製だったが、最近は海外生産に移行しただけでなく、他社のOEMでレンズ開発をペンタックスは行うようになった。カメラ市場がシュリンクしているので仕方が無いが、昔のようにじっと眺めていたくなるようなカメラが無くなったことも市場縮小に影響していると思う。
自動車も含めて魅力的な工業製品が無くなったからかもしれないが、いまやmade in JAPANがそれほど重要なロゴではなくなった。
ところでアイバニーズというブランドのギターは、20万円前後まで海外製だが、星野楽器という名古屋に本社があるドラムセットとギターのメーカーだ。楽器メーカーとしては珍しく、最初から自社に工場を持たないファブレス企業である。そのためブランドを大切にしてきた。
ちなみにアイバニーズとは昔スペインに存在したギター工房の名前である。エレキギターの世界では、ギブソンがトップブランドとして君臨してきたが、倒産しかかったりしてブランドイメージが低下してきた。
また、30万円前後のES335がアイバニーズの7万円前後のギターの品質よりも劣っていたことにびっくりしたが、これは日本メーカーが品質管理技術が優れていることを示す典型的な例だろう。
ギブソンは20年ほど前、ギターについて一山いくら的売り方をしていた。すなわち、代理店(当時の日本の代理店は山野楽器)からの注文に応じて注文数をすべて出荷する、というやり方だ。当方が購入したのは、新品訳ありES335をバーゲン価格で購入している。ただしこの新品訳ありでも16万円で下取りされた話を以前紹介している。
これに対して、アイバニーズでは海外生産品でも品質管理を日本人が行っているそうで、その結果今ではギブソンと肩を並べるまでのブランドに育ち、高価格帯のギターの値段は1.5倍になっている。当方の5年前の在庫品としてネゴの末購入したES335同等品の新品ギター(7万円!)は、今では15万円以上の定価がついている。
ニコンもおそらくmade in JAPANの価値よりもニコンブランドの価値が高いと判断した結果かもしれないが、防湿庫に保管していたフィルムカメラのクリップ部分がクリープ破壊していたり、新製品で購入したZ6のストロボシューを購入してすぐに修理に出さなければいけない経験をした当方には、今回の決断を心配に思えてくる。
もし信頼性工学について不安があるなら当方に相談していただきたい。ニコン製カメラの信頼性が上がるならば、喜んでお手伝いしたい。
(注)ギターの価格は、ブランド力で様々である。アコースティックギターでその相場を例示すると、日本製は20万円前後である。すなわち20万円未満の日本ブランドは韓国、中国、インドネシアなどで生産されている。アメリカブランドの場合に、安価なギターはメキシコ製である。ギブソンの場合にはアメリカ製でもメンフィスとナッシュビルで品質が異なると言われている。日本製でもK/ヤイリやタカミネは、25万円以上の価格をつけている。面白いのはアイバニーズの20万円ほどの定価のインドネシア製ギター。最高品質の木材で製造されて、実売14万円である。木材の品質はトップ板に使用されるスプルースの場合に、木目がそろってまっすぐな材料は最高品質と言われている。また、10万円以上の製品は、テイラーを除き、トップ板スプルースは単板となる。テイラーの場合にトップ板が単板になるのは20万円前後で、20万円以下で表板が単板製のギターではスプルース以外が使用される。最近エレアコが人気だが、ピックアップとアンプ代が2万円ほど価格を押し上げている。こうした情報を基に、ギターを眺めると、コスパが悪いのは、テイラーの高級品、マーチン、ギブソン、タカミネ、Kヤイリ、ヤマハLシリーズ、逆にコスパが良いのはアイバニーズ、アリア、ヤマハのAシリーズである。モーリスは大半がオープン価格となっており、入手先により低価格品では2万円前後、20万円前後の単板ギターでは5万円前後の価格の開きがある。OEM生産が主体のフジゲンは、そもそも見かけることが少なく、よくわからない。テイラー、マーチン、ギブソンは、アコースティックギターのトップブランドと言われているが、その次にヤマハ、タカミネなどが並ぶと言われている。一部ではアイバニーズやKヤイリもトップブランドという解説がある。モーリスやフジゲン、ヘッドウェイの日本製は、海外でも評判が良い、と書かれていたりするが、テイラーやマーチンに次ぐブランドであることは確かだろう。40年前にマーチンギターのOEM生産を行っていた東海楽器は、キャッツアイブランドでもギターを発売しているが、全製品中国製である。昔のキャッツアイはマーチン同等品質として人気を集めたが、最近はあまりその評判を聞かない。いろいろ調査をしてきて思うのは、ギターと言う楽器の面白さである。未だに様々な製品が発売されており、バイオリンなどの形の定まった弦楽器とは異質である。40年以上前の製品がビンテージ品として100万円以上の価格で販売されたりしているが、塗装や接着技術も含めてこの20年間に製造された製品の方が良かったりする。バイオリンではストラティバリウスがとんでもない値段で販売されていたりするが、ギターはそこまでの価格がついていない。とんでもない価格はついていないが、購入するときにどのギターを購入すればよいのか迷う人には、10万円以下で品質が安定している製品を選ぶならば、ヤマハかアイバニーズとなる。目利きがいるならば、キャッツアイやアリアでは、価格以上の製品に出会うことがある。同じ価格帯で迷ったならアリアである。一定のブランド力のあるモーリスやタカミネ、Kヤイリを購入する場合には、20万円以上の製品を購入したい。ブランドにふさわしいギターを入手できる。テイラーやマーチンも同様である。ギブソンは高価格帯でも注意をしないと品質の悪い製品がある。しかし、品質が悪くても下取りでは、高く引き取ってもらえるので安心だが。
カテゴリー : 未分類
pagetop