2021.04/25 科学と技術と芸術と
科学と技術、芸術それぞれを比較した時に、科学の異質性が浮き彫りになる。やはり、科学は哲学であって、技術や芸術のように人間の営みの中に組み込まれ、連綿と伝承されている活動とは異なる。
技術や芸術では、形式知だけでなく経験知や暗黙知も重要視される。科学では形式知を如何に正確に論理展開できるのかが能力として重要になってくる。芸術では形式知など知らなくても、例えばジャズギターを弾こうと思ったならば、カルカッシギター教則本を読まなくても名演奏家になれる。
しかし、コードやリズムなど音楽の形式知と思われるものを知っていると、理知的なアドリブを展開でき、聴衆に理解されやすい。ただしその時でも科学のように厳密な形式知の展開が求められているわけではない。
ニュートンと同時代を生きたバッハが平均律を考案したように音楽も科学の影響を少なからず受けながら発展してきたように思われる。しかし、技術が科学の影響を受けるだけでなく科学に支配され急激な進歩をするような悲劇の時代を経たが、音楽はじめとした芸術は独自にゆっくりと発展している。
科学技術として技術が科学の支配を受けて急激な進歩を遂げたのは良いが、経験知と暗黙知を活用した自由な開発方法論を犠牲にした。科学の限界が見え始めた21世紀は改めて技術開発の方法論を考えなければいけない時代かもしれない。
カテゴリー : 一般
pagetop