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2021.05/24 ユークリッド幾何学と技術(4)

ユークリッド幾何学では補助線に気がつくかどうかが問題解決の分かれ道となるケースが多い。この1本の補助線に気がつくためには経験知が必要となる。しかし経験知が無くても直感をうまく起動させるための方法がある。

そしてこの方法は現在の技術開発にも応用可能であり、当方が主張している科学とは少し異なる技術的視点の一つである。また、数研出版の高校数学受験参考書にも必ず出てくる一言である。

それは、「結論からお迎え」という呪文であり、魔法の言葉である。電気粘性流体の耐久性劣化増粘問題もこの呪文で一発解答を出し、FD事件が起きている。

1年もかけて否定証明された科学の成果が、一晩の実験でひっくり返ったわけだから、担当者の腹が立つ理由を理解できるが、やってはいけないこともある。やってはいけないことを平気でできる人がいるので、企業内の研究所と言えども注意する必要がある。

否定証明も技術者はやってはいけない禁じ手だ。とんでもないものをどうしても作らなければいけない状況では、コストの問題に持ち込めばよい。コストがとんでもない場合には、企業の研究所ではやらなくても良くなるからだ。

中間転写ベルトの開発では、「素人は黙っとれ」と言われたので、バンバリーを使って目標を実現できる理想のコンパウンドその1を作って見せた。

このコンパウンドその1ができたおかげで担当者はコンパウンドメーカーから素人呼ばわりされた当方の見解の正しさを理解してくれたのでコンパウンドを改良しようという機運が高くなった。

困ったのは当方で、そこまで火がつくとは思わなかった。そこで、やるしかない、と腹をきめて3か月でコンパウンド工場を建てて、コンパウンドメーカーとまったく同一組成でありながら実用性のある新規なコンパウンドその2を製造することに成功した(注)。

技術とは面白いもので、できることが示されると、皆そちらの方向にベクトルがそろう。その結果アイデアだけでなくやる気もどんどん出てくるから不思議である。できることをまず示すこと、これが技術開発リーダーに求められているスキルの一つだ。

(注)高分子材料ではプロセスが異なると、配合組成が同じでも製造された物が異なる、という面白い結果が、科学の時代でも得られる。その中には、製造されたものを科学的に解析し、説明できるケースもあるが、科学で説明できないケースもあるので面白い。電気粘性流体の問題解決結果も、PPSと6ナイロンの相溶も現在の科学で説明できない。科学で説明できないが、いずれも技術で実現できて実用化もされた。そろそろ科学と技術の違いに気がついていてほしい。ウィルスの機能についても必ずしも科学的と言えない解説が跋扈しているが、それでも皆が理解できればOK牧場である。

カテゴリー : 一般

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